(文:湧川太陽、写真:Tomohiko Sato)
2023年1月7日(土)、琉球ゴールデンキングスは横浜ビー・コルセアーズとアウェイで対戦。
横浜BCは天皇杯で初のベスト4に進出、2023年2月にキングスと天皇杯準決勝で対戦する。この1月のレギュラーシーズンの試合が、期せずして天皇杯の前哨戦となった。
横浜BCを牽引するのは、日本代表PGでもある河村 勇輝だ。アシスト数はリーグTOPを独走中。個人得点もリーグ日本人TOPだ。横浜BCは河村の圧倒的な個人能力に加え、チームディフェンスが向上、試合終盤でも諦めない姿勢がチーム全体に浸透して、ここまでB1中地区2位と今季初のチャンピオンシップ出場を見据える位置にいる。
キングスは横浜国際プールで勝利して、ホーム沖縄アリーナでの天皇杯準決勝に繋げることが出来るか。
電光石火 河村勇輝
キングスのスターティングメンバーは、#1 ジョシュ・ダンカン、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#34 小野寺 祥太、#45 ジャック・クーリー。
横浜のスターティングメンバーは、#5 河村 勇輝、#6 赤穂 雷太、#10 チャールズ・ジャクソン、#15 デビン・オリバー、#23 キング 開。
1クォーターから、横浜BCは河村勇輝がアシストで魅せる。河村とジャクソンのホットラインでキングスのゴール下を攻める。キングスもディフェンスに強い小野寺を河村にマッチアップさせるが、河村の素早い動きに手を焼く。残り6:05、小野寺は早くも2ファウル目をしてしまう。
河村が止まらない。ハーフコートオフェンスではバックドアに走り込んだ味方へ鋭いパスを通し、横浜BC得意のファストブレイクでは、電光石火でフロントコートへ侵入したかと思えば、ゴール下のジャクソンへパスを通す。
河村勇輝は1クォーターだけで4アシスト。そのうち3つはジャクソンへゴール下に合わせるパスだった。
さらに横浜BCはディフェンスでもチーム成長の跡を見せる。キングスのインサイドへのパスを簡単に入れさせないようにボールにプレッシャーをかけて、ゴール下ではファウルを抑えつつキングスの外国籍選手に簡単なシュートを許さない。
対照的に、キングスは横浜BCのボールプッシュの速さに対応出来ていない。自分たちのターンオーバーや横浜BCのディフェンスリバウンドが、河村勇輝の電光石火のファストブレイクで即失点につながる。オフェンスを大事にいかないといけない。キングスはそのプレッシャーを感じ始めて、オフェンスのリズムが狂い始める。
1クォーターは18-10と横浜10点リード。キングスは横浜BCの『ファストブレイク』という土俵に引き摺り込まれてしまった。
2クォーターもキングスはオフェンスのリズムを取り戻すことは出来ない。牧、田代、クーリーとターンオーバーを連発。その間に横浜BCは#30 須藤 昂矢のコーナー3ポイントが決まる。
残り7:08、キングスは早くも前半2回目のタイムアウト。スコアは24-12だが、12点差で『すんでいる』印象だ。それほど横浜BCに試合の主導権を握られてしまっている。
キングスは苦しい場面をエース今村が繋ぐ。残り5:33、今村が鋭いドライブから独力で得点。さらに今村のドライブから、牧を経由して岸本の右コーナー3ポイントが決まる。残り4:46のオフィシャルタイムアウトまでに26-17と9点差と、横浜BCに点差を拡げさせない。
タイムアウトあけ、キングスは2−2−1ゾーンを繰り出し、河村から8秒バイオレーションを奪う。横浜BCはすぐにタイムアウトを取り修正をかける。互いのプライドがディフェンスの強度に現れる。一瞬の隙も逃さない素晴らしいディフェンスをぶつけ合う。
横浜BCのリズムを作り出すのは、速いオフェンスだけではない。ファストブレイクに持ち込むための『リバウンド』への集中力が素晴らしかった。
リーグ1位の平均リバウンド数を誇るキングスに対して、横浜BCはリバウンド争いを2人の外国籍選手だけに任せず、3人目の日本人選手もリバウンド争いに参加、ディフェンスリバウンドをしっかりと確保。
リバウンド争いに人数をかけても、マイボールにすれは河村勇輝のアジリティ(敏捷性)で数的優位のファストブレイクに持ち込める。自分たちの強みを最大限に活かす、そんなゲームプランも透けて見える。
2クォーターは34-25で横浜9点リード。キングスにとって9点差以上に大きな課題を突き付けられた前半だった。
最後に試合を決める河村勇輝
3クォーターも先制点はやはり河村勇輝のアシスト。ジャクソンとのホットラインで得点。さらに河村は一瞬の隙を突きファストブレイクを繰り出し、キング開へアシスト。38-25と横浜BCのリードを13点に拡げる。
完全にリズムを失ったキングス。ダーラムもトラベリングを犯してしまい、岸本も無理なロングパスを出してターンオーバーにしてしまう。なんとキングスは3クォーター残り5分までわずか4得点。
キングスはダーラムがゴール下へ力強くゴールへドライブして打開を図る。ダーラムがドライブから連続バスケットカウントワンスロー。しかしダーラムはボーナスワンスローを2回連続で外してしまう。この日キングスはフリースローに苦しんだ。
横浜BCは3クォーター残り1:04、#9 森川 正明がトップから3ポイントを決めて51−37と14点差。キングスはここで流れを押し戻さないと危険水域だ。
キングスは、牧の冷静なボールコントロールから左コーナーの松脇が3ポイント、さらに右45度から再び松脇がブザービーター3ポイント。3クォーター終了時のスコアは51−43。キングスがなんとか4クォーターへ望みをつないだ。
4クォーター、今までアシスト役だった河村がスコアリングモードに入る。残り5:30にコートに戻ると、キングスのターンオーバーから素早くフロントコートへボールを運び、トップから3ポイントを決める。さらに河村は一瞬を切り裂くドライブからそのままレイアップで得点。
反撃したいキングスだったがターンオーバーが続き、それを河村はノールックパスでジャクソンのスラムダンクを演出。そして自身の自身のドライブで得点、勝負を決める3ポイントと連続得点。
河村は試合後の記者会見で「試合を決める最後の部分でクロージングシュートを決められれば良し」と語っていたが、まさにその通りの活躍。4クォーターだけで10得点、それを試合最後の5分間にすべて集約した。
試合は67-51で横浜BCが18点差で勝利。河村勇輝に完全に試合を支配されてしまった。桶谷HC「これからは茨の道となる」と語った1月のアウェイ連戦の初戦を落としたキングス。GAME2どう修正してくるか。
試合スタッツ:Bリーグ 2022-23 B1リーグ戦 2023/01/07 横浜BC VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト