キングス、豪NBL強豪を追い詰めるも惜敗 琉球ゴールデンキングス vs パース・ワイルドキャッツ [2025.09.14]

現地9月14日(日)、琉球ゴールデンキングスはオーストラリア・パースでの国際試合の最終戦となるパース・ワイルドキャッツ(豪NBL)との対戦で、103-93で敗れた。

NBL(オーストラリア・ナショナルバスケットボールリーグ)の強豪クラブとの2連戦でオーストラリア遠征に旅立ったキングス。この日はNBLで最多となる10回のリーグ制覇を誇る名門クラブのパース・ワイルドキャッツ(以下 パース)との対戦となった。

キングスのスターティングメンバーは、ヴィック・ロー、佐土原遼、岸本隆一、脇真大、ジャック・クーリー。1クォーター、キングスはパースに先制点を許すも、クーリーのゴール下シュートですぐに返す。さらに岸本のドライブからのキックアウトパスで左コーナーの佐土原がスリーポイントを決めて好調なスタートを切る。キングスは岸本のスリーポイントや相手ターンオーバーから佐土原のファストブレイクなどで11-16とリードを奪う。小針幸也、松脇圭志、ケヴェ・アルマ、アレックス・カークもコートに立ち、この日も多くの選手を起用するキングス。遠征初戦のサウスイースト・メルボルン戦よりもボールムーブメントがスムーズになり、NBL強豪のパースを互角に渡り合う。1クォーター終了時のスコアは、21-27でキングス6点リード。

2クォーター、キングスのスタートは小針、小野寺祥太、松脇、アルマ、カーク。キングスはハーフコートでハイローを多用してゴール下からの得点を狙う。残り8分半には崎濱秀斗と脇を投入。キングスは中盤に逆転されるが、脇の連続レイアップで再逆転。さらに脇は左コーナーからのスリーポイントも決める。互いの攻防も熱を帯び始め、パース#18 Mason Jonesが岸本の前でスリーポイントを決めると、お返しとばかりに岸本もスリーポイントを決め返す。2クォーター終了時のスコアは、52-54でキングス2点リード。

3クォーター、キングスはロー、佐土原、岸本、脇、クーリーでスタート。ポストのクーリーを経由してパスを受けた岸本がスリーポイントで先制。しかしパースは好調な#18 Mason Jonesが連続でスリーポイントを決めて逆転。キングスは松脇がプルアップでスリーポイントを決め、インサイドではカークとクーリーを同時に起用。豪NBLの強豪相手でもキングスのツービッグはインサイドでの優位性を示す。3クォーター終了時のスコアは、74-73でパースの1点リード。

4クォーター、キングスは崎濱、荒川、松脇、ロー、カークでスタート。開始直後にパースは松脇へブリッツを仕掛けてあわやターンオーバーという場面。しかし次のポゼッションでは崎濱が冷静に判断、カークのスクリーンをリジェクトして相手のブリッツを仕掛ける方向とは反対方向にアタックする。その後も崎濱は相手のディフェンスに応じて適切なゲームコントロールを見せる。 

キングスはチームで正しい判断が共有できており、残り5分半の場面では、ハーフライン上のローのスクリーンへの対応でエラーを起こしたパースディフェンスに対して、岸本 – ロー – 佐土原 とスリーポイントライン上でボールを回し、最後は小野寺が左コーナーからスリーポイントを決めて、相手のエラーに代償を払わせた。

しかしここで見逃せないのが、パースの味方エラーに対するカバーリングのスムーズさだ。#40がローのスクリーンにかかりスイッチすべき場面で右サイドへドライブする岸本を追ってしまった。ここで右サイドでは岸本に二人のマークマンが付き、逆サイドでアウトナンバーが発生する。岸本はすぐにトップのローへパスを送り数的優位を利用しようとする。パースは#35がローへのパスをカットしようとギャンブル気味に飛び出すが、クーリーのダイブをカバーするローテーションに動いてた#13がそのままローへ詰める。クーリーは約束通りペイントへダイブして#3と#18をゴール下まで引き寄せたが、ローから佐土原へのパスへ#18がクローズアウト。佐土原から小野寺へのパスも#3がクローズアウト。結果として小野寺のコーナー3Pは決まったが、小野寺がシュートを打った瞬間はディフェンスポジショニングは修正されており、もしシュートが外れていた場合はパースがディフェンスリバウンドを確保した可能性が高かった。パースは最初のエラーとギャンブルスティール、2回もディフェンスが崩壊する要因があったのに、全員の共通理解による修正で崩壊を最小限に食い止めていた(ちなみに最初にエラーを起こした#40も、スティールを狙った#35も、すぐに正しいローテーションに戻っていた)。キングスが適切なボールムーブメントからオフェンスを成功させたことも素晴らしいが、オーストラリアチームの身体能力や身体サイズに頼らない統率力からも学ぶべき部分は非常に多い。

最終スコアは103-93でホームのパースが勝利した。パースにとってはリーグ戦開幕を1週間後に控えたこの時期に弾みをつける勝利であり、キングスにとっては勝敗以上に価値ある戦いになったはずだ。

キングスの次戦は9月23日(火)、24日(水)に沖縄サントリーアリーナでB1初昇格のアルティーリ千葉とプレシーズンゲームを戦う。そしていよいよ10月4日(土)にはBリーグ開幕戦となる。

試合スタッツ:Perth Wildcats vs. Ryukyu Golden Kings | National Basketball League

(写真提供:琉球ゴールデンキングス)

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