12月13日(土)、佐賀バルーナーズ vs 琉球ゴールデンキングス GAME1がSAGAアリーナ(佐賀県佐賀市)で行われ、72-95でキングスが勝利した。
この勝利は、わずか数日前の水曜ゲーム、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で60得点に抑え込まれ敗戦したキングスにとって、見事なバウンスバックとなった。桶谷大ヘッドコーチが試合後に「選手たちが気持ちを切り替えて集中力を見せてくれた」と語ったように、チームは精神的にも勢いを取り戻した。

キングス勝利の要因は、驚異的な成功率を記録した3ポイントシュートと、試合の主導権を完全に掌握した第2クォーターの激しいディフェンスにあった。特にアウトサイドからは、チーム全体で3ポイント成功率57.7%という高確率でシュートを沈め、佐賀ディフェンスを終始翻弄した。また、この試合では大黒柱の#45 ジャック・クーリーがB1個人通算5000得点を記録。常にゴール下からチームを支え続けるクーリーにとっても記念すべき試合となった。
第1クォーター:激しい点の取り合いでキングスが僅差のリード (佐賀 25-28 キングス)
試合は序盤から両チームのアウトサイドシュートが飛び交う、ハイスコアな点の取り合いとなった。キングスは#14 岸本隆一と#34 小野寺祥太が立て続けに3ポイントシュートを成功させ、オフェンスを牽引。対する佐賀も効果的なボールムーブから得点を重ね、一進一退の攻防が続いた。最終的に、キングスが25-28とわずか3点のリードを奪い、激しい第1クォーターを終えた。
SAGA BALLOONERS vs RYUKYU GOLDEN KINGS [2025.12.13]
— OUTNUMBER – okinawa basketball Magazine (@OUTNUMBER_EN) December 13, 2025
Ryukyu's Ryuichi Kishimoto and Shota Onodera make three-point shots.pic.twitter.com/LTIXBYFUgh
第2クォーター:鉄壁のディフェンスでキングスが主導権を握る (佐賀 12-29 キングス)
このクォーターは、試合の明確なターニングポイントとなった。キングスのディフェンスが試合の流れを完全に変えた背景には、明確な戦術的狙いがあった。佐賀がチームの司令塔である#2 レイナルド・ガルシアを負傷で欠く中、桶谷HCは試合前から「ハンドラーが不在のところにプレッシャーをかけていこう」と指示。その言葉通り、キングスのガード陣は佐賀のボールマンに激しいプレッシャーをかけ続け、ターンオーバーを誘発し、そこから効率的な速攻へと繋げた。オフェンスでは#15 松脇圭志の2本の3ポイントシュートなどで着実に加点して佐賀を圧倒。前半終了時点でリードを20点(37-57)に広げ、試合の主導権を完全に掌握した。
第3クォーター:クーリーの偉業達成と盤石の試合運び (佐賀 15-22 キングス)
後半に入ってもキングスの勢いは衰えず、攻守にわたって盤石の試合運びを見せた。佐賀からクォーターだけで6本のターンオーバーを奪い、岸本、#10 荒川 颯などの3ポイントで佐賀を突き放す。さらに岸本のアシストからクーリーがB1個人通算5000得点の偉業を達成。キングスは着実にリードを広げ、クォーター終了時点でのスコアを52-79とし、勝負の行方をほぼ決定づけた。
SAGA BALLOONERS vs RYUKYU GOLDEN KINGS [2025.12.13]
— OUTNUMBER – okinawa basketball Magazine (@OUTNUMBER_EN) December 13, 2025
Ryukyu's Jack Cooley scores his 5,000th point in the B League.pic.twitter.com/EPBxpAUSQp
第4クォーター:佐賀の反撃を退け、キングスが勝利 (佐賀 20-16 キングス)
最終クォーター、ホームの佐賀は#20 岸田篤生を中心に意地の反撃を見せた。岸田はこのクォーターだけで8得点を挙げる活躍を見せたが、キングスは最後まで集中力を切らすことなく、落ち着いて試合をコントロールした。大差がついてもなおディフェンスの手を緩めず、最終スコア72-95で快勝。名古屋D戦の敗戦を引きずることなく、力強いパフォーマンスで連戦の初戦を飾った。
試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/12/13 佐賀 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
主要選手のパフォーマンス
琉球ゴールデンキングス
#14 岸本 隆一: 直近の不調を完全に払拭する圧巻のパフォーマンスを披露。バイウィーク明けの3試合で3ポイント成功が13本中2本と不振にあえいでいたが、この日は放った3ポイントシュートは3本すべて成功。チームトップの13得点を記録し、そのシュートがチームのオフェンスに火をつけたことは間違いない。

#45 ジャック・クーリー: B1通算5000得点という大記録を達成。記録だけでなく、10得点10リバウンドのダブルダブルを記録し、インサイドを完全に支配した。攻守両面における彼の存在感とリーダーシップが、チームに安定感をもたらした。
ベンチ陣の活躍 (#10 荒川 颯, #21 デイミアン・ドットソン): この試合ではベンチメンバーが合計で42点を記録し、チームの勝利に大きく貢献した。特に、ともに11得点を挙げた#10 荒川と新加入の#21 ドットソンは、出場時間を通じて攻守に高いインテンシティを維持し、チームに勢いをもたらした。

佐賀バルーナーズ
#20 岸田 篤生: チーム最多となる17得点を記録。特に第4クォーターに見せたアグレッシブなアタックは、大差をつけられた状況下でのチームの士気を高め、敗戦の中の大きな収穫となった。
#22 タナー・グローヴス:13得点11リバウンドのダブルダブルを記録。インサイドで体を張り続け、個人として奮闘した。しかし、チーム全体としてキングスのインサイド陣を抑えるには至らなかった。
勝敗を分けたキーファクター
3ポイントシュートの圧倒的な格差
試合のスコアに最も直接的な影響を与えたのは、両チームの3ポイントシュートにおける精度の差であった。
| チーム | 3P成功数/試投数 | 成功率 |
| 琉球ゴールデンキングス | 15 / 26 | 57.7% |
| 佐賀バルーナーズ | 8 / 37 | 21.6% |
キングスが驚異的な確率でアウトサイドシュートを沈めたのに対し、佐賀は試投数こそ上回ったものの、成功率が伸び悩んだ。この差が、そのまま得点差に直結したと言える。
第2クォーターの試合支配力
キングスが第2クォーターに見せたディフェンスの強度向上は、準備された戦略の賜物だった。佐賀が司令塔の#2 レイナルド・ガルシアを欠く弱点を突き、佐賀のハンドラー陣に執拗なプレッシャーをかけることでターンオーバーを誘発。これが名古屋D戦では停滞したキングスのトランジションオフェンスの起点となり、ファストブレイクや効率的なオフェンスに繋がった。このクォーターで築いた20点差(57-37)のリードが、試合の行方を決定づけた。

インサイドの支配とリバウンド
リバウンド数でもキングスは佐賀を43-37と上回り、インサイドの主導権を握った。#45 ジャック・クーリー(10リバウンド)と#4 ヴィック・ロー(11リバウンド)、#21 デイミアン・ドットソン(7リバウンド)、#53 アレックス・カーク(6リバウンド)がディフェンスリバウンドを支配したことで、佐賀にセカンドチャンスを与えなかっただけでなく、キングスの速攻の第一歩となった。このインサイドでの安定感が、高確率のアウトサイドシュートを生む土台となった。

ヘッドコーチ・選手会見の要約
琉球ゴールデンキングス
桶谷 大 ヘッドコーチ
桶谷HCは、水曜の名古屋D戦での敗戦からの切り替えが重要だったと強調した。特に、選手たちへ「笑いなさい」と伝えたエピソードは、シリアスになりがちな状況下で、楽しむ心を持つことがチームの精神的なリフレッシュに繋がり、この日のパフォーマンスを引き出した。試合後の記者会見では、佐賀バルーナーズのメインハンドラーであるレイナルド・ガルシア選手が不在であったことに言及し、代わりのハンドラー(角田選手、岸田選手、阿部選手ら)に対して「プレッシャーをしっかりかけていこう」という指示を出していた事を語った。
ジャック・クーリー(キングス)
B1通算5000得点の偉業について、「信じられない」と謙虚に語りつつ、「チームメイトがこの得点をさせてくれた」と仲間への感謝を述べた。また、長年プレーする沖縄を「第二の故郷」と表現し、アウェイの地まで駆けつけたファンに対しても心からの感謝の言葉を伝えた。
荒川 颯(キングス)
「キングスらしいバスケットができた」と試合を振り返り、良いディフェンスからオフェンスへの繋がりが勝因だったと分析。また、「何かきっかけを待つのではなく、一人ひとりが責任感を持って取り組む」ことの重要性を語った。
次戦への展望
琉球ゴールデンキングス: GAME1での圧勝は、チームのポテンシャルの高さを改めて証明した。しかし、桶谷HCが指摘するように「大差で勝った後の試合は難しい」。この日のような高い集中力とパフォーマンスを維持できるかが、連勝への鍵となるだろう。特にディフェンスの強度を試合開始から発揮し、佐賀に反撃の隙を与えないことが求められる。
佐賀バルーナーズ: GAME1で露呈した課題は明確だ。キングスの激しいプレッシャーディフェンスに対するターンオーバーの削減と、3ポイントシュートの精度向上が急務となる。第4クォーターに岸田篤生選手が見せたようなアグレッシブなアタックをGAME2の序盤から展開し、試合の主導権を握り返せるかどうかが、バウンスバックの最大のポイントとなるだろう。ホームの大声援を力に変え、リベンジを果たしたいところだ。
(写真提供:琉球ゴールデンキングス、構成・文:湧川太陽)

