西地区上位対決、キングスは名古屋Dの守備に屈し連勝ストップ [2025.12.10]

12月10日(水)、琉球ゴールデンキングス vs 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ が沖縄サントリーアリーナで行われ、60-73で名古屋Dが勝利した。

B1リーグ西地区の覇権を争う上位チーム同士の激突。5連勝と波に乗る琉球ゴールデンキングスが、リーグ屈指の堅守を誇る名古屋ダイヤモンドドルフィンズをホームに迎えた一戦。

試合は、名古屋Dがリーグトップクラスのディフェンス力を存分に発揮し、特に前半でキングスのオフェンスを完全に封じ込めたことが決定打となった。キングスは第3クォーターに持ち前の修正力で猛追を見せ、一時は6点差まで詰め寄る意地を見せたものの、最終クォーターで再び名古屋Dの守備網に捕まり失速。最終スコア60-73で、キングスの連勝は「5」でストップした。名古屋Dはアウェーの地で、チャンピオンシップを見据える上でも極めて価値の高い一勝を手にした。

目次

第1クォーター: 名古屋Dが守備で主導権を握る (15 – 22)

試合は立ち上がりから互いにエースが火花を散らす展開となった。キングスは#4 ヴィック・ローの3ポイントで先制するも、名古屋Dもすぐさま#30 今村佳太が3ポイントを決め返し、序盤から激しい点の取り合いを予感させた。しかし、主導権を握ったのは名古屋Dのディフェンスだった。#11 アーロン・ヘンリーと#30 今村佳太が立て続けにスティールを記録し、そのまま速攻に繋げて得点を重ねる。キングスは相手の激しいプレッシャーに苦しみ、思うようにオフェンスを組み立てることができない。名古屋Dが序盤から自分たちの得意な形を作り出し、リードを奪った。第1クォーター終了: キングス 15 – 22 名古屋D

第2クォーター: ターンオーバーから点差拡大 (12 – 21)

第2クォーターに入ると、名古屋Dのプレッシャーはさらに強度を増した。キングスはオフェンスの起点を作れず、パスミスや連携ミスからターンオーバーを連発。前半だけで13個というターンオーバー数が、キングスの苦境を物語っていた。名古屋Dはこのミスを一切見逃さず、#11 アーロン・ヘンリーを中心としたアグレッシブな守備からボールを奪い、着実に得点へと繋げていく。キングスは完全に流れを失い、点差はみるみるうちに拡大。前半終了時点で16点という大きなビハインドを背負うこととなった。第2クォーター終了: キングス 27 – 43 名古屋D

第3クォーター: キングス、怒涛の猛追 (23 – 13)

後半、キングスの反撃が始まる。ハーフタイムで修正を図ったキングスは、前半の課題であったターンオーバーをこのクォーターわずか1つに抑え、オフェンスの遂行力を劇的に改善。インサイドでは#45 ジャック・クーリーが力強いプレーでゴール下を支配し、アウトサイドからは#34 小野寺 祥太が連続3ポイントシュートを沈めるなど、内外から得点を重ねて会場のボルテージは最高潮に。一時は6点差まで詰め寄り、試合の行方は分からなくなった。第3クォーター終了: キングス 50 – 56 名古屋D

第4クォーター: 名古屋Dが再び突き放し、試合を決める (10 – 17)

勝負の最終クォーター、再び試合を支配したのは名古屋Dの鉄壁の守備だった。キングスの猛追を断ち切るかのようにディフェンスのギアを一段上げ、キングスから24秒バイオレーションを3連続で奪うなど、このクォーターのキングスの得点をわずか10点に封じ込めると、オフェンスでは、#43 スコット・エサトンがインサイドで効率よく得点を重ね、勝負どころでは#34 カイル・リチャードソンが値千金の3ポイントシュートを成功させ、キングスを突き放した。最終スコア60-73で、名古屋Dが西地区上位対決を制した。

試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/12/10 琉球 VS 名古屋D | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

主要選手のパフォーマンス

琉球ゴールデンキングス

#45 ジャック・クーリー: ペイントエリアの支配者として君臨。最終的に17得点、12リバウンド(うちオフェンスリバウンド6本)のダブルダブルを達成。特に第3クォーターの猛追時には、リバウンドから得点まで、チームを牽引する獅子奮迅の働きを見せた。

#4 ヴィック・ロー: 苦しい状況のチームを攻守に渡って支えた。10得点、5リバウンド、5アシストを記録。名古屋Dの激しいプレッシャーの中で、ターンオーバー0で試合をコントロールした。

#21 デイミアン・ドットソン: ベンチから出場し、流れを変える役割を果たした。7得点を記録し、第3クォーターの反撃時には貴重なアシストで好機を演出。新戦力としてチームに勢いをもたらした。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

#11 アーロン・ヘンリー: まさにゲームチェンジャーだった。攻めてはゲームハイの23得点を記録し、守っては4スティール、2ブロックという驚異的な数字でキングスのオフェンスを破壊。彼が記録した4スティールは、チームがターンオーバーから奪った21得点に直結しており、攻守両面における彼の存在が名古屋Dの勝利を決定づけた。

#2 齋藤拓実: チームの司令塔としてオフェンスを完璧に指揮。13得点に加え、ゲームハイの8アシストを記録し、味方の得点チャンスを次々と創出。彼のゲームメイクが、名古屋Dのスムーズな攻撃のリズムを生み出した。

#43 スコット・エサトン: ベンチから登場し、非常に高い効率で得点を量産。2ポイントシュートを7本すべて成功させ15得点を挙げ、さらに9リバウンドを記録。インサイドで絶大な存在感を示し、チームに勝利をもたらす重要な役割を担った。

勝敗を分けたキーファクター

名古屋Dのプレッシャーディフェンスとターンオーバーからの得点

勝敗を分けた最大の要因は、間違いなく名古屋Dのディフェンスにあった。キングスに19回のターンオーバーを強いると、そこから21得点を奪い取った。これは、名古屋Dの総得点の約3割に相当する。対照的に、名古屋D自身のターンオーバーは14回に抑えられており、この差が試合の趨勢を決定づけた。特に#11 アーロン・ヘンリーが記録した4スティールは、そのプレッシャーの象徴だった。

第3クォーターの修正力と第4クォーターの失速

キングスは、まさに「二つの顔」を見せた試合だった。桶谷大ヘッドコーチがハーフタイムに施した修正は功を奏し、第3クォーターはターンオーバーをわずか1つに抑え、23得点を挙げる猛追を見せた。しかし、この流れを最後まで維持できなかった。第4クォーター、再び強度を上げた名古屋Dのディフェンスの前にキングスは沈黙。わずか10得点に終わり、6つのターンオーバーを喫して失速した。

リバウンドの優位性を活かせなかったキングス

スタッツ上、キングスはリバウンドで名古屋Dを圧倒していた。総リバウンド数で44対33、特にオフェンスリバウンドでは20対8と大きな差をつけた。通常であれば、これは決定的なアドバンテージとなるはずだった。しかし、この日はその優位性を得点に結びつけることができなかった。セカンドチャンスからの得点効率の低さに加え、そもそもシュートに至る前にターンオーバーで攻撃権を失う場面が多く、リバウンドでの奮闘は空回りする結果となった。

ヘッドコーチ・選手会見の要約

琉球ゴールデンキングス

桶谷大ヘッドコーチ

前半でのターンオーバーが全てです。こちらは13本のターンオーバーを犯してしまい、そこから名古屋さんに14点失点してしまった。

ただ、ディフェンスやリバウンドに関しては、そんなに悪くはなかったと思っています。名古屋さんはオフェンスリバウンドがリーグで1位のチームですが、それを8本に抑えられたのは上々だった。

後半、第3クォーターでは流れを引き戻して追い上げることができたが、第4クォーターに入ってシュートが入らず、フリースローを2本落としたりという状況になり、オフェンスのやり方を途中で変えてしまった。その結果、24秒バイオレーションを3連続するなど、またドツボにはまってしまいました。

結局、何が効いていて、どういうオフェンスをやるべきだったのかという部分を、シュートが入らなかったとしてもやり切ることができなかった。

この試合を通して、私たちがやるべきことは、個人でバスケットをするだけでなく、やっぱり全員でトーンを合わせて連携してバスケットをするということだ、と神様に言われているようなゲームだったと感じています。

Q:ハーフタイム(16点差)での指示と、第4クォーターへの指示はどのようなものでしたか?

桶谷HC:ハーフタイムでは、まずライブターンオーバー(速攻につながるTO)を無くすことを最優先に指示しました。オフェンスでは、プレイが「ぶつ切り」になっていたため、ビッグマン(ファイブマン)がフラッシュに来るなど、「繋ぎ」を連動性をもって行うよう求めました。また、ダウンヒルアタック(ゴールへ直線的にドライブ)やポストプレーからのインサイドアウトを狙う意識も指示しました。

第4クォーターについては、点差を詰めた後も効いていたオフェンスを継続しようとしましたが、シュートが入らない時間帯にやり方を変えてしまい、ドツボにハマってしまいました。特に、主力の岸本選手が抜けた後、脇などゲームメイクを担う選手たちが、どうやってワイドオープンを作っていたのかを理解し、ゲームを継続することが今後の課題になると考えています。

ただ、すべて名古屋さんのやりたい様にやられた訳ではない。名古屋さんはオフェンスリバウンドがリーグTOPだが、今日は8本しか取れていない。ターンオーバーの部分で僕らがはまってしまった事はあるにせよ、隆一や祥太の3Pがもう1本でも入っていればゲームは分からなくなっていた。完敗に見えるけど、実はそうでもない。本当にちょっとした差。力の差がある、とは思わなくてもいい。

Q:デイミアン・ドットソンのここまでのプレーの評価は?

桶谷HC:まだ3試合目ですが、彼は「自分が良いチームメイトでいようとし過ぎている」のかもしれない。ドライブだけでなく、もっとどんどんシュートを打ってほしい。彼を加入させたのは、クリエイトできて3ポイントのある選手がチームに少ないためであり、特にセカンドユニットの時間帯で彼が点を獲りに行く役割を果たすよう、本人に伝えていく必要があると考えています。

Q:セカンドユニット(脇、佐土原、松脇など)の評価は?

桶谷HC:ディフェンス面に関しては、サイズが上がったこともあり、「めちゃくちゃいい」と評価しています。スイッチもできています。しかし、オフェンス面で、ポイントとなる局面で「どう攻めるか」がぼんやりしてしまった部分があるため、そこが改善されれば、より良いセカンドユニットになると期待しています。

Q:デイミアン・ドットソン獲得の意図と経緯は?

桶谷HC:選手獲得のプライオリティとしては 3 ポイントのある選手でマーケットに残ってる選手。あとクリエイトできる選手が現状のチームに少ない事もあり、佐土原も(4番ポジションとして)いるので、ハンドラーができる3ポイントを打てる選手として、ドットソンを獲得しました。マーケットにいる選手の中で自分たちの予算も含めて検討した時、何かに振り切る事も大切ではないかと考えて、シュート力に振り切って決断しました。なので今日の様な試合展開なら、自分から得点を狙いに行って欲しい。周りのスペーシングもあまり良くなかったのでドットソンだけの問題ではないので、そこの整理はしないといけないと思います。

Q:今回の敗戦で浮き彫りになった、名古屋のプレッシャーディフェンスに対する修正点は?

桶谷HC:名古屋さんのような「プレイを切ってくるチーム」や「プレッシャーディフェンスが刺さってくるチーム」に対して、オフェンスで「lazy(おざなり)」になっている部分がある(スクリーンをちゃんとしない、ロックしてボールをもらわないなど)。次の佐賀戦に向けて、こうした課題をクリアにしていきたいと考えています。また、広島戦から名古屋戦までの練習日数が少なく(対人練習ができなかったため)、メンタル的な準備をさせられなかった点も反省しています。

ジャック・クーリー

今日の試合はすごくタフな試合でした。名古屋さんは非常に良いチームで、私たちのミスをすごくたくさん誘発してきている、という印象です。20本のターンオーバーをしてしまったのが、今日の大きな敗因の一つだと考えています。

ただ、ディフェンスについては良かった部分もありましたし、リバウンドは私たちの強みとして発揮できたと思っています。オフェンスリバウンドで21本を取れたのは、この20本のターンオーバーを相殺できたと思います。

しかし、今日は全体的にシュートがなかなか入らず、特にオープンな3ポイントシュートをもう少し決められていたら、また違った展開になっていただろうと思います。今日は自分たちらしくないプレイが出てしまいましたが、この試合から学ぶべきものを学び、次の週末の試合に活かせればと思っています。

Q:自身のパフォーマンスと、第3クォーターの追い上げの手応えは?

クーリー:勝利できなかった試合で、自分の出来を過大評価することはできません。私は常にそう感じています。もっと良くできた点はたくさんあります。おっしゃっていただいた通り、第3クォーターではディフェンスもオフェンスも良い形で、チームがランを作ることができました。しかし、私たちはその良いプレイを4クォーター全てで出し続ける必要があります。試合全体を通して、より良いプレイをするよう努めるのは、私の責任です。

Q:デイミアン・ドットソン選手の印象について

クーリー:彼は非常に高いスキルを持っている選手であり、チームに迎え入れることができてラッキーだと感じています。彼は良いショットをクリエイトしてくれるだけでなく、チームに素晴らしいエネルギーをもたらしてくれています。彼もNBAとは違うリーグでのバスケットボールに上手く適応していると感じています。

Q:リバウンドについてはどのように評価していますか?

クーリー:リバウンドは私たちのストロングポイントです。相手がリバウンドのいいチームであろうが、悪いチームであろうが、私たちはリバウンドのところで支配しなければならないと思っています。オフェンスリバウンドを21本取れたのは良い点でした。ただ、オフェンスリバウンドとディフェンスリバウンドには大きな違いがあり、私たちはディフェンスリバウンドをもっと改善する必要があります。ディフェンスローテーションが原因でポジションがズレてしまうこともありますが、言い訳にはなりません。個人的には、私たちは両方の部門でリーグ1位になるべきだと考えています。

Q:名古屋のハードショウディフェンスに対し、ビッグマンとしてどう対応すべきだと感じましたか?

クーリー:名古屋さんのようにハードショウが上手な相手に対しては、特にビッグマンとして、ガードを助けるためにいつでもパスを受けられる状況を作る必要があります。残念ながら、今日はその点であまり良い仕事ができませんでした。これは大きな反省点であり、今後取り組むべきことです。

デイミアン・ドットソン

今回の試合は、非常に良いゲームでした名古屋さんはとても競争力の高いチームであり、ディフェンスも非常に良かったと思います。彼らに多くのターンオーバーを誘発されてしまったのは事実ですが、全体として見れば悪くない試合でした。

そして、今日はホーム(沖縄サントリーアリーナ)で初めての試合でした。環境もファンも素晴らしく、この環境でバスケットボールができることに、とても興奮していますし、感謝しています。ターンオーバーなど、いくつか私たちが取り組むべき課題も見つかりましたが、ポジティブに捉えています。

Q:ホームでの初試合、特に名前が呼ばれた時の大歓声について、どのような感情を持ちましたか?

ドットソン: 私はすごく歓迎されていると率直に感じました。とてもエキサイティングで、同時に深い感謝の気持ちも湧いてきました。

Q:チームにどのような特徴や貢献をもたらしたいと考えていますか?

ドットソン: 私はこれまでの経験を活かしたいと思っています。また、フィジカルな面でも、体を張ってチームに貢献したいですね。そして、チームメイトのためにオープンな選手(シュート機会)を作れるようになりたいと考えています。スコアリングだけでなく、全てにおいてバランスを取り、チームに貢献できると思っています。

Q:Bリーグの印象と、なぜ日本でプレイすることを選んだのですか?

ドットソン: Bリーグは素晴らしいリーグだと認識していますし、プロフェッショナルなレベルも非常に高いと感じています。私は常々Bリーグでプレイしたいと思っていましたので、今回その機会を得られたことに感謝しています。元NBAの選手や知り合いがBリーグでプレイしていることは聞いていましたが、自分でプレイするチャンスがなかっただけです。

Q:沖縄の印象について教えてください

ドットソン: 沖縄は非常に素晴らしく、美しい島だと、実際に来てから実感しています。来る前は写真やYouTubeでしか見たことがありませんでしたが、実際にこの目で見て本物だと感じました。私のホームタウンも暖かい地域なので暑さには耐えられると思いますが、島に住むのは初めてなので、とても楽しみにしています。

Q:オフェンス面では、特に日本人選手相手にもっと得点できたのではという印象ですが、改善点や課題は何でしょうか?

ドットソン:チームに加入してまだ3試合しか経っていないため、オフェンス面ではまだアジャストしている最中です。オフェンスのシステムや、自分がどこでシュートを打つべきかという「スポット」を理解できれば、もちろんもっとシュートを打てるようになります。バスケットボールはチームスポーツなので、自分自身のことだけでなく、チーム全体のことも考え、組織的なプレイを理解しながら順応していきたいと思っています。

Q:ディフェンス面では、名古屋Dのアーロン・ヘンリーのような3番ポジションの外国籍選手とのマッチアップが期待されますし、現在の上位チームには強力な3番ポジション外国籍選手が数多くいます。彼らとどのようにマッチアップしますか?

ドットソン:fine. It’s gonna be fine.(大丈夫。楽しみにしてるよ)

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

ショーン・デニスヘッドコーチ

今日の試合はほとんど予想通りでした。非常にフィジカルな試合で、フリーでプレイできる瞬間もあれば、ゴリゴリとぶつかり合う場面もありました。

特に良かったのは、うちのディフェンスが本当に素晴らしかった点です。琉球はほとんどターンオーバーしないチームなのですが、彼らから20本のターンオーバーを誘発できたのは、本当に素晴らしいことだと思います。

第3クォーターで、琉球がランを作って追い上げてきたのは、チームに話していた通り、セカンドチャンスポイントや3ポイントでしか相手は戻ってこれないという予想が当たったからです。しかし、第4クォーターでは、うちがしっかりロックオンしました。さらにターンオーバーを6本誘発させ、3ポイントシュートを1本も打たせず、オフェンスリバウンドも4つに抑えられたのは素晴らしかったです。

今日の審判団も選手にプレイをさせ、選手自身に試合を決めさせたのは良かったと思います。今、このようにトップチーム同士が争い、競争している状況は、Bリーグ全体にとっても本当に素晴らしいことだと感じています。今日の勝利は、うちのチームにとって非常に重要な勝利でした。

Q:第3クォーターで琉球に6点差まで追い上げられた際、タイムアウトを取らず選手に任せたのはなぜですか?

デニスHC: 私は選手を100%信頼しています。コーチとして焦って早くタイムアウトを取りすぎるのは避けるべきだと考えています。選手たちには、苦しい状況をどうやって自分たちで乗り越えるかを学び取ってほしいと思っています。最終的には少し危険な状況になったのでタイムアウトを取りましたが、基本的には選手の判断に任せていました。

Q:千葉J戦と琉球戦とで、チームとしてどのようにアジャストしましたか?

デニスHC: チームのタイプとしては、両チームともリバウンドやセカンドチャンスポイントを中心にゲームを作ってくるという点で、大きな違いはないと感じています。また、両チームとも3ポイントを使って追いついてくる戦術を持っています。

今日(琉球戦)と千葉J戦の大きな違いは「3ポイントラインを守れたか」という点です。千葉J戦では相手にだいぶ3ポイントを打たれてしまいましたが、今日は特に第4クォーターでそこを止められたのが素晴らしかったです。

Q:琉球のガード(特に岸本選手)へのマッチアップの評価と、アシスト数(名古屋21本、琉球12本)の多さについて。

デニスHC:岸本選手はスコアリングがあり、特に3ポイントが非常に強い選手なので、彼にプレッシャーを与え続けることがうちのキーでした。琉球も後半にプレッシャーディフェンスを試みましたが、千葉のビッグマンと違い、琉球のビッグマンはそこまで動けるタイプではないので、外に出てプレッシャーをかけると、戻りづらくなるという弱点がありました。そこを第4クォーターでうまく攻め込むことができました。

アラン・ウィリアムズは、持っている能力以上に本当に上手な選手であり、この日は3点しか取っていませんが、アシストを7本決めた素晴らしいパサーです。

Q:名古屋Dは新アリーナも完成して、チームとコミュニティの成長についてどのように感じていますか?

デニスHC:このクラブは、私がグループに入る前の5~6年かけて素晴らしいカルチャーを築き上げてきています。ファンもチームの一部だと感じられるような文化が構築されています。琉球がファンベース形成のリーダーでしたが、名古屋も今、その努力が実を結び、観客数も増え、皆がチームに興奮している状態です。選手やコーチ陣も「このクラブに来たい」と思っているのは、クラブの成長の証です。

Bリーグ自体も年々レベルが上がっており、コーチングのレベルも向上し、全盛期の外国籍選手がキャリア形成として日本に来るようになっています。海外のコーチもBリーグに来たがっており、自分がその成長に少しでも立ち会えたことは非常に誇らしいことだと感じています。

齋藤拓実

試合全体を通して、僕たちのディフェンスのインテンシティは、チームとしてしっかり出せたと思っています。特に今日は、沖縄サントリーアリーナという”どアウェイ”の厳しい環境で、ずっと超えたい壁のうちの一つだった琉球さんに勝てたことは、チームとしてもクラブとしても大きな自信になりました,。

ただ、第3クォーターでは、琉球さんの強みであるリバウンドや3ポイントによって、失点が23点ぐらいまで増えてしまったのは反省点です。やはり、ディフェンスのシステムが遂行しきれない部分があると、ああいった強いチームにはランを作られてしまい、なかなか点差を広げることができない。

ですが、特に第4クォーターではディフェンスをしっかり修正できたのが、チームとしてすごく良かった点です。相手のターンオーバーを誘ったり、24秒ディフェンスで止め切ったりといった成果が出ました。この勝利は、チームがポジティブな方向で成長している証拠だと思いますし、今後チャンピオンシップになった時に同じ誤ちをしないように、今からチームメイトやコーチ陣とコミュニケーションを取っていきたいと思っています。

Q:琉球の岸本選手へのマッチアップやディフェンスの意識について教えてください。

齋藤: 岸本選手は琉球のメインハンドラーの一人で、試合の序盤から絶対に波に乗せたくない。個人的には簡単にボールをもらわせないことを意識しましたし、チームとしては、ピックアンドロールに対してビッグマンのトラップなどを使いながら、チームディフェンスとしてしっかり守りきれたと思います。

Q:今シーズンのディフェンス力向上について、要因は何だと感じていますか?

齋藤: まずはマンツーマンディフェンスの強度がかなり高くやれています。新しく加入したアーロン・ヘンリー選手のような、ディフェンスの嗅覚的なものが優れている外国籍選手が入ってくれたことで、チームのシステムと合致し、どんどん機能していると感じています。また、今まではディフェンス後にリバウンドを取りきれないことが課題でしたが、カイル・リチャードソン選手やアラン・ウィリアムズ選手がリバウンドを取り切れるようになったのも、今までにいなかった強みだと思っています。

Q:アウェイの沖縄サントリーアリーナでキングスに勝利したことは、チームにとってどのような意味を持ちますか?

齋藤: 琉球さんは長年、同じ地区で戦ってきた中で、ずっと超えたい壁の一つでした。昨シーズンは沖縄で2連敗して(元キングス所属の)今村選手もかなり悔しがっていたので、今日勝って「やっと勝てた」と今村選手も話していました。選手全員が強い思いを持って戦った結果だと思います。

Q:シーズンはまだ1/3ですが、現状の順位をどう見ていますか?

齋藤: まだ1/3しか終わっていませんが、他のチームで怪我人が多くなる中で、僕たちはある程度健康状態を保てていることが、今の勝率に繋がっていると思っています。琉球さんとは、今後も本当にチャンピオンシップを争うチーム同士になると思っていますので、長いシーズンの中で何が起きるか分からないですが、今日の試合のように、最後のワンポゼッションまでしっかり守り切る意識を全員が持って、戦っていきたいです。

Q:2月にはFIBAワールドカップ予選が沖縄サントリーアリーナで行われます。”どアウェイ”がホームになりますが、日本代表戦への意気込みを。

齋藤: 次のワールドカップ予選Window2に召集されるためにも、この後のリーグ戦の結果が大事だと思っています。2023年ワールドカップの沖縄アリーナの様子もみていましたし、画面越しでも伝わるアリーナの熱量がすごかったですし、それがホームとして味方になってくれるのは本当に心強いです。まずは代表に選ばれる様に頑張って、もし代表に選出されれば本当に楽しみな試合になります。

次戦への展望

琉球ゴールデンキングス: 5連勝がストップし、次節はアウェーで佐賀バルーナーズと対戦する。今回の敗戦で浮き彫りになった、プレッシャーディフェンスに対するターンオーバーの問題をいかに修正し、オフェンスの遂行力を高められるかが、再び勝利の軌道に戻るための鍵となるだろう。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ: 敵地での大きな勝利を手に、次節はホームに茨城ロボッツを迎える。この勝利で得た自信を糧に、チームとしての完成度は、シーズンが進むにつれてますます高まっていきそうだ。

(写真:Hamataro、取材:金谷康平、構成:湧川太陽)

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この記事を書いた人

沖縄バスケットボール情報誌アウトナンバー編集部 │ #琉球ゴールデンキングス 試合レポートなら #OUTNUMBER │ 沖縄県U18、U15、ミニバス情報も発信中です

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