B.NEXTのフォーマットを発表 B.NEXTの歪な日程の「現実解」とU22選抜延期の「揺るがぬ意志」

12月9日(火)、Bリーグ理事会の後にメディアブリーフィングが行われ、Bリーグ島田 慎二チェアマンは来季からのB.NEXT(新B3)の大会方式、そしてB.NEXTに参加を検討していたU22選抜チームについての説明が行われた。

目次

なぜ4チームで年間48試合? B.NEXTの「過酷」な日程に隠された昇格への現実解

2026-27シーズン、B.NEXTはわずか4クラブで構成され、年間48試合、つまり1クラブが同じ相手と16回も対戦するという異例の大会方式が発表された。この数字だけを聞けば、いかにも歪で過酷なフォーマットに思えるだろう。

リーグとクラブが直面した課題は二つあった。一つは「多すぎても正直しんどい」という興行面の現実。そしてもう一つは、少なすぎると「(B.ONEに)上がった時の経営格差」が生まれてしまうという経営面の現実だ。将来的にB.ONE(新B2)へ昇格すれば年間60試合を戦う必要があり、そのための経営基盤はB.NEXT時代に築かなければならない。試合数が少なければ、チケットやスポンサー収入が減少し、昇格基準のクリア自体が危うくなる。

この相反する圧力の中で、リーグとクラブが対話を重ねてたどり着いた「折衷案」こそが、年間48試合という数字だったのだ。

この一見奇妙なフォーマットは、B.NEXTを単なる下部リーグではなく、B.ONEという舞台で持続的に戦い抜くための経営基盤を作っていく「戦略的準備期間」と位置づける、Bリーグの将来戦略が見える。

若手育成の「U22選抜」、延期の”意外な真相”とBリーグの揺るがぬ”意志

B.NEXTへの参入が計画されていた「U22選抜チーム」の始動が、1年延期され、2027-28シーズン以降を目指すことが発表された。この「延期」の裏には、計画への反対や戦略転換があったわけではない。「体育館施設の確保が物理的に困難だった」という、極めて実務的な制約が理由だった。

しかし、ここで注目すべきは延期の理由ではなく、その後に明かされたリーグの揺るぎないコミットメントである。

そもそもこのプロジェクトは、Bリーグが抱える二律背反の課題を解決するための重要な一手だ。トップカテゴリーの競争力を高めるために「オンザコートフリー」(コート上に同時に出場できる外国籍選手枠が最大3名になる)という方針を打ち出す一方で、日本人若手選手の出場機会を確保し、育成も並行して進めなければならない。U22選抜は、この矛盾を両立させるための方策だ。

「若手育成はBリーグの揺るがぬ意志」と島田チェアマンは強調する。仮にB.NEXTの4クラブがすべてB.ONEに昇格し、B.NEXTというリーグ自体がその形で存続しなくなったとしても、このU22プロジェクトは継続する、と説明した。

ユースの選手たちの育成機会を積極的に作っていくという強化の方向性は継続され、2026-27シーズンについては、韓国やフィリピンなど、アジア各国リーグとの提携や、同世代のチーム同士でゲームを行う機会を多く作ることで、育成機会をカバーしていく方針だ。

質疑応答

Q:B.NEXTで48試合という試合数を採用した背景は何か?

島田C:B.ONEに昇格したら60試合をこなさなければならず、少なすぎると昇格した際の経営格差を埋められないためです。また、試合数を減らすとスポンサー収入やチケット収入が減り、クリアすべき収益基準達成が難しくなります。この48試合は、それらの課題を考慮したクラブとの合意点です。

Q:4チームでの試合形式は、ホーム&アウェイ方式なのか、それとも特定箇所で集中開催もあるのか?

島田C:ホーム&アウェイ方式です。これは、クラブがB.ONEを目指す上で、ホームタウンで価値を創造し、集客し、稼いでいくという目的があるため、その仕組みを変えることは絶対ありえません。

Q:U22選抜チームの参戦が2026-27シーズンで断念された主な理由は何か?

島田C:参入を予定していた2026-27シーズンについて、体育館や施設(アリーナ)の確保がすでに終わっており、そこから追加で確保することが難しいという現実的な事情によるものです,。

Q:U22選抜チームは、どのようなチーム運営を想定しているのか?

島田C:リーグが保有し、遠征費などをフォローする、少しイレギュラーな形を想定していました。U22選抜チームは活動拠点・ホームゲームが無いため、各クラブのユース選抜を集め、各チームやユースチームのヘッドコーチやアシスタントコーチなどのサポートを得てチームを編成する構想でした。

Q:U22選抜チームが参戦する場合、対象となる選手はBプレミアのクラブ所属者のみか?

島田C:基本的にはBプレミアのユース選手をメインで考えています。これは、BプレミアのチームにはU22の選手が複数名いるものの、オンザコートのルールにより、試合出場機会を勝ち取ることが難しいシチュエーションになるため、ゲーム経験機会を提供することが目的であり、各クラブもその方針には概ね同意しています。

Q:U22育成プロジェクトは、B.NEXTのクラブ数が少なくても継続するのか?

島田C:はい、継続します。B.NEXTのクラブ数が多いか少ないかに関わらず、ユースの選手たちの育成の機会を積極的に作っていくという強化の方向性は堅持されます。

Q:U22選抜の参戦が1年遅れたことで、2026-27シーズンに育成機会を確保するための代替策はあるか?

島田C:韓国やフィリピンなどアジア各国リーグとの提携や、同世代のチーム同士のゲーム機会をたくさん作ることで、2026-27シーズンはカバーしていく方針です。

Q:Jリーグでは、約10年ほど前にJ3へU22選抜チームが参入した事例がある。Bリーグはこれを参考にしたり、当時の関係者にヒアリングしたりしたのか?

島田C:はい、ヒアリングは行っています。BリーグにもBクラブにも、元Jリーグのクラブに関わっていた方がいるため、色々と話を聞いています。現実的に難しかったことも聞いています。Bリーグは、オンザコートフリーも育成も並行して行っていくという、一見矛盾する事柄をどう両立させるかを考えなければなりません。Bリーグは、この育成方針を「強い意思」をもって取り組んでいくという前提で議論を進めています。
U22選抜チームを作ることだけが全てではありません。例えば、Bプレミアのユース選手をB.ONEやB.NEXTにもっと活発にレンタルに出すことや、Bリーグに参戦しなくても海外の同世代の大会にどんどん出ていくことなども考えられます,。Bリーグは「あらゆる手段を使って」、育成の点では手を抜かないでやっていこうと考えており、U22選抜チームの構想はその取り組みの一つだと受け取っていただきたいです。

Bリーグドラフト、ユース優先交渉権について

また、Bリーグドラフト、ユース優先交渉権についてもメディアからの質問があった。12月18日予定のBリーグドラフト2026コンバイン12月1日に期限を迎えたユース優先交渉権12月22日予定のドラフトロッタリーについて質疑応答が行われた。

Q:ドラフトコンバインの参加人数について

A:当初は50名程度を想定していましたが、82名(今日の時点)の参加希望が出ました。人数が増えたからといって切る必要はないため、期限までは全て受け入れています。ただし、最終的には想定していた50名程度になるのではないかと見込んでいます。

Q:参加人数を50名程度に絞る際の基準や選考方法はあるのか?

A:参加希望を提出した選手からドラフトコンバインへの参加者を募っている状況であり、現状で全員が参加を希望しているわけではないため、結果的に想定していた50名程度になるだろうと見ています。コンバイン参加選手の最終情報は今週中にメディアに公開される予定です。今回が初めての試みであるため、学生にどのくらい注目されるか分からない状況でした。もし今回、プロに耐えうる状況ではない選手が多く見られた場合、来年以降はメンバー構成や質といったことを考える必要が出てくる可能性があります。

Q:ユース優先交渉権の行使期限は12月1日だったが、各クラブから選手獲得の発表がなかった。これは権利を行使したクラブが無かった、という理解でいいか?

A:12月1日が期限となっていたユース優先交渉権については、その行使の有無も含め、12月22日のロッタリー抽選日に、契約が決まった選手を一斉に発表する予定です。

Q:12月22日に行われるロッタリーピック(指名順)の抽選は、NBAのようにショーアップされた状態を意識して準備しているのか?

A:NBAのようなショーアップされたところまでのイメージとは異なりますが、実際にくじ引きをして指名順を決める形になります。会場は一般非公開ですが、メディアには公開され、YouTubeでのリアルタイム配信も実施される予定です。

(資料提供:B.LEAGUE、構成・文:湧川太陽)

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