キングス、インサイドの力強さで敵地で広島に連勝 [2025.12.07]

12月7日(日)、B1リーグ 広島ドラゴンフライズ vs 琉球ゴールデンキングスGAME 2がエフピコアリーナふくやま(広島県福山市)で行われ、68 – 74でキングスがアウェーで連勝した。

広島はGAME1の負傷によりスタートガードの#3 伊藤 達哉が欠場。さらにインサイドの絶対的支柱である#23 コフィ・コーバーンを序盤の負傷で欠くというアクシデントに追い込まれながらも、4クォーターまで粘りを見せて食い下がる展開となった。

キングスは、相手のインサイドが手薄になった機会を逃さず、#45 ジャック・クーリーと#53 アレックス・カークを中心にペイントエリアを支配しながら、冷静に試合をコントロールした。一方の広島は、#34 三谷 桂司朗がキャリアハイ19得点の活躍でチームを牽引。最終的には、選手層の厚さと重要な局面での遂行力で上回ったキングスが逃げ切った。

目次

第1クォーター:堅い立ち上がりと広島を襲ったアクシデント  (15-20)

試合は両チームともにディフェンスの強度が高く、重厚な立ち上がりとなった。広島が序盤に3ポイントシュートを2本連続で沈めて先行する場面もあったが、キングスは慌てずに、#14 岸本 隆一が最初のスリーポイントを決めると、#45 ジャック・クーリーと#53 アレックス・カークがインサイドで着実に得点を重ね、主導権を渡さない。

このクォーター最大の転機は、広島のインサイドの要である#23 コフィ・コーバーンが負傷によりコートを離れたことだった。このアクシデントは、その後の試合展開にあまりにも大きな影響を及ぼすことになる。キングスは落ち着いてゲームを進め、第1クォーターを15-20で終え、5点のリードを奪った。

第2クォーター:広島のゾーンを攻略したヴィック・ローの”楔” (23-27)

大黒柱のコーバーンを欠いた広島は、戦術的な変更を余儀なくされ、ゾーンディフェンスを多用し始める。しかし、キングスはこの広島のゾーンに完璧に対応する。#4 ヴィック・ローがハイポスト(フリースローライン付近)を起点とし、ゾーンの弱点となるコート中央で”楔(くさび)”の役割を遂行。ローはこのクォーターだけで11得点を挙げる圧巻のパフォーマンスに加え、的確なアシストで味方の得点も演出し、広島のゾーンディフェンスを完全に無力化した。彼のオールラウンドな働きが、キングスのリードを広げる最大の要因となった。

第3クォーター:広島の猛追を凌いだキングスの我慢 (15-18)

後半に入ると、広島がディフェンスの強度を一段と上げ、猛烈な反撃を開始した。#8 クリストファー・スミス、#メイヨ ニックを中心に得点を重ね、残り6分で47-52と点差を5点差まで縮め、キングスにタイムアウトを取らせる。

追い上げられる苦しい時間帯だったが、ここでキングスは底力を見せる。タイムアウト明け、ターンオーバーから#4 ヴィック・ローがバスケットカウントを決めて吠えるなど、7-0のランで反撃。完全に流れを渡すことなく我慢のバスケットを展開し、広島の勢いを断ち切った。終わってみればこのクォーターを15-18で制し、リードを12点(53-65)に広げて最終クォーターへ向かった。

第4クォーター:勝負どころで見せたキングスの遂行力 (15-9)

最終クォーター、試合は最高潮の白熱を見せた。広島が#34 三谷 桂司朗の連続得点などで一時は3点差まで詰め寄り、会場のボルテージは最高潮に達する。しかし、この極限のクラッチタイムでキングスの勝負強さが光った。#14 岸本 隆一が冷静にゲームをコントロールし、インサイドの#45 ジャック・クーリーにボールを集めて着実に得点やフリースローを獲得。

対照的に、広島は奮闘したものの、終盤には疲労からかターンオーバーやタフショットが続き、あと一歩及ばなかった。最後まで集中力を切らさなかったキングスのディフェンスが広島の最後の猛攻を封じ込め、最終スコアは68 – 74でキングスは5連勝となった。

参考:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/12/07 広島 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

主要選手のパフォーマンス

琉球ゴールデンキングス

#4 ヴィック・ロー: ゲームハイの20得点に加え、8リバウンド、6アシストと圧巻のスタッツを記録。特に第2クォーター、広島のゾーンディフェンスに対してハイポストで起点となり、自らの得点とアシストで完璧に攻略。オフェンスの絶対的支柱としてチームを牽引した。

#45 ジャック・クーリー: 17得点、11リバウンドのダブルダブルを達成。試合終盤の最も重要な局面でインサイドの強さを存分に発揮し、決定的なオフェンスリバウンドや得点でチームを勝利へと導いた。まさに大黒柱の働きだった。

#53 アレックス・カーク & #21 デイミアン・ドットソン: カークが10得点、新加入のドットソンも9得点と安定した貢献を見せた。特定のスター選手に依存するのではなく、コートに立った選手がそれぞれの役割を全うするチームの層の厚さが、この勝利を支えた。

広島ドラゴンフライズ

#34 三谷 桂司朗: B1でのキャリアハイとなる19得点を記録。成功させた3ポイントシュート5本もまたキャリアハイであり、いずれもチームが苦しい時間帯に流れを引き寄せる貴重な一投だった。敗れはしたものの、エース級の活躍で最後まで試合の望みを繋いだ。

#13 ドウェイン・エバンス: 18得点、12リバウンドのダブルダブル。#23 コフィ・コーバーンが不在の中、インサイドの要として攻守にわたり身体を張り続け、チームを牽引。そのリーダーシップは最後までチームを鼓舞した。

#8 クリストファー・スミス: チームハイの19得点を挙げたが、最大の武器である3ポイントシュートは10本放って0本成功に終わった。試合後、キングス桶谷ヘッドコーチが「気持ちよくプレイさせないように守備を意識した」と語ったように、キングスのディフェンスが彼の長所を効果的に封じ込めたことが、大きな勝因となった。

勝敗を分けたキーファクター

キングスの圧倒的なインサイド支配力

この試合におけるキングス最大の勝因は、インサイドの支配力にあった。スタッツを見ても、ペイント内での得点は44点に達しており、広島の26点を大きく上回る。広島のインサイドの要である#23 コフィ・コーバーンが早々にコートを去ったことで生まれたミスマッチを、#45 ジャック・クーリー、#4 ヴィック・ロー、#53 アレックス・カークの3人が徹底的に攻め続けた。これが試合を通してキングスの最大の優位性となった。

 ゾーンディフェンスを巡る戦術的攻防

広島がビッグマン不在を補うために採用したゾーンディフェンスは、試合の流れを左右する重要な戦術的要素となった。しかしキングスは、#4 ヴィック・ローをハイポストに配置するという見事なアジャストを見せる。ローがパスの中継役となり、自ら得点し、さらにはアシストの起点となることで、広島のディフェンスを機能不全に陥らせた。

クラッチタイムでの遂行力と選手層の差

試合終盤、3点差まで迫られた場面で、両チームのプレーの質に差が表れた。キングスが落ち着いてインサイドにボールを供給し得点を重ねたのに対し、広島は疲労からかターンオーバーや苦しいシュート選択が目立った。この差を生んだのが選手層の厚さだ。キングスの桶谷ヘッドコーチは効果的な選手交代で主力の体力を温存。これが最後の勝負強さに直結した。

ヘッドコーチ・選手会見の要約

桶谷 大 ヘッドコーチ(キングス)

ディフェンスへの評価: 平均90点近い広島を68点に抑えたことについて「かなりいいディフェンスができた」と高く評価。特に、#8 クリストファー・スミスを3ポイント0本に抑えられた点を勝因に挙げた。

#34 三谷 桂司朗への言及: 相手選手である三谷の目覚ましい成長に対し、「思ってる以上に成長してて、かなり厄介な存在になってくる」と最大限の賛辞を送った。

選手起用の意図: 新加入の#21 デイミアン・ドットソンらの活躍に触れ、「(彼が)いるといないとでは全然違う。しっかり休める」とコメント。主力を休ませながら戦えるようになった選手層の厚さに手応えを感じている様子がうかがえた。

次戦への意気込み: 次節のホームでの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦を「頂上決戦」と位置づけ、「僕らにとっては負けられない試合になる」と、シーズンを占う重要な一戦になるという認識を示した。

次戦への展望

琉球ゴールデンキングス:西地区の頂上決戦へ

次節、キングスはホームに同じ西地区の上位を争う名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎える。桶谷ヘッドコーチが「頂上決戦」と表現したように、この直接対決は今後の地区優勝争いの行方を占う上で極めて重要な一戦となる。強敵・広島とのアウェイ戦を2連勝で乗り切ったことは、チームに大きな自信と勢いをもたらすはずだ。最高の形で迎える大一番に、ファンの期待は高まる。

広島ドラゴンフライズ:光明を次戦の力に

広島は次節、ホームで長崎ヴェルカと対戦する。最大の懸念材料は、この試合で負傷した#23 コフィ・コーバーンの状態だ。しかし、チームは彼の不在という逆境の中で、#34 三谷 桂司朗の目覚ましい成長と、最後まで王者を苦しめたチームの粘りという大きな光明を見出した。この敗戦から得たポジティブな要素を次戦の勝利に繋げられるかが、今後の浮上の鍵となるだろう。

(写真提供:琉球ゴールデンキングス、構成・文:湧川 太陽)

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