キングス、新外国籍選手デイミアン・ドットソンとの契約を発表 [2025.12.05]

12月5日(金)、琉球ゴールデンキングスは新外国籍選手としてデイミアン・ドットソンとの契約を発表した。

▽球団コメント
 ドットソン選手は、優れたボールハンドリング、状況判断、シュート力に加え、ディフェンスにおいても活躍が期待されるオールラウンド性の高い選手です。
 長らくフォワードおよびセンターポジションで外国籍選手を起用してきたキングスにとって、ドットソン選手の加入は、約10シーズンぶりにガードもこなせる外国籍選手を獲得することになります。このオールラウンド性をもって、どの選手とコートに立ってもお互いを活かし、チームプレーをより強固にすることへの貢献が期待されます。
 2017年のNBAドラフトでニューヨーク・ニックスから2巡目指名を受け、NBAで4シーズンプレーした後、トルコや中国でも経験を積んできた彼は、NBAとアジアのバスケットボールの両方を知る経験豊富な存在です。
 ドットソン選手にとって初めての日本のプロリーグとなりますが、培ってきたスキルと経験を活かし、いち早くキングスの新たな戦力となってくれると考えています。
 皆さまのドットソン選手への応援をよろしくお願いします。
琉球ゴールデンキングス公式サイトより引用

今季のキングスは外国籍選手の退団、途中入団が相次いでいる。10月27日にケヴェ・アルマが退団。その後10月31日にアンドリュー・ランダルが短期契約で入団。そして11月17日にはランダルも短期契約満了で退団。そこから約3週間のバイウィーク(中断期間)中に、新たな外国籍選手の獲得に動くのは明らかで、その動向が注目されていた。

ドットソンは、196cm、95kgのシューティングガード(SG)で、NBAニューヨークニックスでキャリアをスタートした後、中国、トルコでプレー。昨季はトルコBSLのPetkim Sporで23試合プレーして、1試合あたり平均得点10.0得点、2.7リバウンド、1.7アシスト、FG成功率 49.1%、3P成功率 45.9%、FT成功率67.6% を記録した。

参考:Damyean Dotson, Game by Game Stats (2024-2025) | Proballers

ドットソンのプレースタイルの特徴は「正確なスリーポイントとディフェンス」だ。

彼は素早いリリースとキャッチ&シュートの能力を備えた有能なシューターであり、キャリアのほとんどでシーズン35%以上の3P成功率を記録している。

ディフェンスにおいては、長いリーチを活かしたオンボールディフェンスが高く評価されている。196cmの身長ながら、腕の長さであるウイングスパンは約206cmとインサイドプレーヤー並みのサイズを誇る。Bリーグにおいては、ガードポジションだけではなくオールラウンドにマッチアップ出来る可能性がある。ガードとしては高いリバウンド能力も評価されている。

ドッドソン加入発表前の11月25日、バイウィーク中のメディアデーにおいて、琉球ゴールデンキングスの桶谷大ヘッドコーチは「新外国籍選手に求めたいことは?」というOUTNUMBERの質問に対して、興味深い回答をしてくれた。

「(短期契約のランダルとは)持っているものが違うと思います。彼(新外国籍選手)の性格は僕もまだ分かっていない部分もあるので、コミュニケーションを取りながら、彼(新外国籍選手)が何が出来るのかをまず自分たちコーチ陣が知らないといけないと思っています」

「若い選手ではないし、年齢重ねている選手でもないですけれど、彼(新外国籍選手)がリーダーシップを持っているならそれを発揮して欲しいですね」

「ただ、選手たちに伝えているのは、今まで同様にヴィック(・ロー)と(小野寺)祥太を中心にリーダーシップを発揮して欲しい。その中でチームをしっかり作っていきましょうという話はしています。新しい選手が入ったとしても、チームの構造は変わらず、プラスアルファで新しい選手が出来ることをやってもらうようにしていきたいと考えています」

また、桶谷ヘッドコーチはこうも語っていた。

「サド(佐土原遼)の使い方を開幕時から模索しながら試合を重ねてきて、今やっとその部分がチームとしてハマるようになってきた」「最初のころはヴィックをハンドラーにして、サドをスクリーナーの役割をしていたんですけど、その役割ではボールムーブメントがあまり上手くいかなかった」

「そこで最近は、サドとヴィックの役割を入れ替えて、サドをハンドラーにしてヴィックをスクリーナーにする役割を試していた。それでヴィックはスクリーナーの位置から、クローズアウトシチュエーションでボールを受け取ってプレーする」「それをやっていけば、ヴィックの負担を軽くして第4クォーターの大事な場面でヴィックにハンドラーとしての能力を発揮しやすくなる」

つまり、キングスとして新外国籍選手に求める役割が、シーズン開幕前とは少し変化してきたからこそのドットソン獲得だったといえる。

シーズン前の布陣では、昨季同様にジャック・クーリー、アレックス・カークという強力なビッグマンを補完しつつ、スリーポイントも狙えるケヴェ・アルマという役割分担だった。だが、佐土原がヴィック・ローとの良い関係性を構築しつつあり、さらに佐土原は強靭なフィジカリティーでビッグマンの負担もある程度軽減できる目処もついてきた。

ランダルがもたらした”気づき”も大きい。ランダルはディフェンス面での貢献や、チームのスペーシングを整理するような潤滑油としての役割を果たしてくれた。それにより、プレーメイク面でのヴィックの負担も軽くなっていた。

エースとしての役割が大きくなっているヴィック・ローを、アウトサイドからのプレーで手助けが出来るドットソンが、より今のチームに必要だった。そういう判断からの獲得だったのだろう。

日本でのプレーは初となるドットソン。どんな性格の持ち主なのだろうか。

ドットソンは、出演したポッドキャスト番組「thletes & Assets with Noah Lack」で海外でプレーするために大事なことをこのように話していた。

「プロフェッショナルとして、バスケットボールと仕事に集中するんだ。問題や騒動になりそうな事から距離を置く事が重要だ。ヘルシーなコンディションを維持して、ゲームのために準備を怠らないことが海外でプレーするには大事だ。(大学で共にプレーしたWes Vanbeckの名前を挙げて)彼のように毎朝ジムに行き、素晴らしいシーズンを送らななければいけない。いかに一貫性を持ってバスケットボールに取り組むかが大事なんだ」

以前、キングスの関係者が教えてくれたことがある。「私たちは選手を獲得する時に重視しているのは、何よりも性格です。外国籍選手も能力があっても我儘にプレーする選手ではなく、チームのために真摯にプレーしてくれる選手を大事にしています」

ドットソンがどんなプレーを魅せてくれるのか。どんなメンタリティーで私達の島のために戦ってくれるのか。今からが楽しみだ。

(写真提供:琉球ゴールデンキングス、文・構成:湧川太陽)

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