キングス、圧巻の3ポイント攻勢で三遠に快勝し4連勝 [2025.11.08]

11月8日(土)、三遠ネオフェニックス vs 琉球ゴールデンキングス GAME 1が浜松アリーナで行われた。

昨シーズンのチャンピオンシップ・セミファイナルでBリーグ史に残る激闘を演じた両雄が、浜松アリーナで再び激突。キングスは3連勝で三遠のホームに乗り込んできた。だが前節の富山戦で脳震盪の診断となった平良彰吾がこの日は欠場となった。
対する三遠はヤンテ・メイテン、ダリアス・デイズ がインジュアリーリスト登録中、浅井英矢がコンディション不良のため欠場。昨季アキレス腱を断裂して欠場中の佐々木隆成も含め、なかなかベストメンバーが揃わず苦しい状況で、ここまでの成績も6勝7敗と黒星が先行していた。

目次

試合総括

試合は序盤から、キングスが高確率のスリーポイントシュートで完全に主導権を握る展開となった。特に#15 松脇圭志は前半だけで6本のスリーポイントシュートを沈める驚異的なパフォーマンスを披露。三遠が敷く変則的なゾーンディフェンスに対し、キングスは的確なボールムーブでシューターに快適なシュートチャンスを供給し続け、着実に点差を拡大した。後半、三遠もエース#2 デイビッド・ヌワバの個人技で反撃の糸口を探ったが、キングスは最後まで攻守の強度を落とすことなく、最終的に69-92で圧勝。

この勝利で4連勝を飾ったキングスは、シーズン序盤の停滞から完全に脱しつつあることを印象付けた。クォーター毎の流れを詳細に分析していく。

1Q:激しいスリーポイントの応酬でキングスがリード (17-23)

試合はキングスの司令塔#14 岸本隆一が開始早々に沈めたスリーポイントシュートで幕を開けた。そこから両チームによるアウトサイドシュートの応酬が始まる。キングスはこのクォーター、#15 松脇圭志が放った4本のスリーポイントシュートをすべて成功させるなど、素晴らしいシュートタッチでオフェンスを牽引した。

対する三遠も黙ってはいない。#10 吉井裕鷹や#5 大浦颯太が立て続けにスリーポイントシュートを決め返し、一進一退の攻防が続く。しかし、キングスは要所での得点を確実に積み重ね、17-23と6点のリードを奪って最初のクォーターを終えた。

2Q:キングスがチームオフェンスで圧倒、リードを二桁に広げる (17-25)

第2クォーター、キングスのチームオフェンスが三遠を圧倒する。三遠が仕掛けるゾーンディフェンスに対し、キングスは冷静なパスワークで次々と弱点を突き、リードを一気に二桁へと広げた。このクォーターを象徴するプレーは以下の通りだ。

松脇のシュートタッチがゾーンを無力化: ローポストの#53 アレックス・カークからの的確なキックアウトパスを受けると、松脇はこの日6本目となるスリーポイントシュートを冷静に沈めた。

ビッグマンの躍動: インサイドを警戒するディフェンスの隙を突き、#45 ジャック・クーリーがトップオブザキーから綺麗なフォームでミドルジャンパーを成功。キングスの攻撃がインサイド一辺倒ではないことを証明した。

ベテランの味: #14 岸本隆一が#53 アレックス・カークのピックを巧みに使い、ディフェンダーを振り切ってプルアップでスリーポイントを沈める。この一撃でリードは10点に達し、試合の流れを完全に引き寄せた。

このクォーターだけで25点を挙げたキングスは、前半を34-48の14点リードで終え、試合の主導権を完全に掌握した。

第3クォーター:三遠の反撃をセカンドユニットの活躍で突き放す (16-21)

後半開始後もキングスの勢いは止まらない。#4 ヴィック・ローが連続得点を挙げ、さらに松脇のこの日7本目となるスリーポイントや岸本のフリースローなどで、リードを20点まで広げる。しかし、ここからホームの三遠が意地を見せた。エースの#2 デイビッド・ヌワバが驚異的な身体能力を活かしたドライブでキングスディフェンスを切り裂き、個人で得点を量産。一時は14点差まで詰め寄り、逆転への望みを繋いだ。

この試合を大きく左右したのが、この後のキングスの対応だった。すぐさまタイムアウトで流れを切ると、ベンチから出場した#8 佐土原遼がレイアップ、フリースロー、そして値千金のスリーポイントシュートと立て続けに得点。三遠に傾きかけた流れを力ずくで引き戻し、再び点差を拡大した。セカンドユニットの活躍で、3クォーター終了時には69-50と19点差を維持し、三遠の反撃ムードを完全に断ち切った。

第4クォーター:危なげない試合運びで勝利を掴む (19-23)

最終クォーター、後がない三遠は#28 津屋一球のスリーポイントシュートなどで最後まで食い下がったが、キングスは盤石の試合運びでリードを詰めさせなかった。#4 ヴィック・ローや#45 ジャック・クーリーがインサイドで安定して得点を重ねる一方、#7 アンドリュー・ランダルがミスマッチを冷静に突いてフリースローを獲得するなど、チーム全体で試合をコントロール。最後まで集中力を切らさず、危なげないゲーム運びで勝利を掴んだ。

最終スコア69-92でキングスが快勝し、チームは4連勝を飾った。

試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/11/08 三遠 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

主要選手のパフォーマンス

琉球ゴールデンキングス

#15 松脇 圭志:21得点 (3P: 7/9)  | 1リバウンド | 1アシスト

松脇のパフォーマンスは、単なる好調さを超え、用意してきた戦術を破壊するレベルにあった。驚異的な成功率(7/9、78%)でスリーポイントシュートを沈め続け、チームに爆発的な勢いをもたらした最大の立役者と言える。特に前半だけで6本を成功させたことで、三遠のディフェンスプランを完全に機能不全に陥らせた。試合後には「チームメイトからはホームみたいだと言われた」と語っており、昨季のCSで劇的な一投を決めた浜松アリーナとの相性の良さを見せた。

#4 ヴィック・ロー: 23得点 | 7リバウンド | 7アシスト

チーム最多得点に加え、リバウンド、アシストでも高い数字を記録し、そのオールラウンド能力を遺憾なく発揮。勝負どころでの得点力はもちろん、司令塔としてゲームを組み立てる能力も際立ち、チームの攻撃を牽引した。

#8 佐土原 遼: 13得点 (3P: 1/1) | 1リバウンド | 2アシスト

ベンチから登場し、流れを繋ぐ貴重な13得点を記録。特に第3クォーター終盤、三遠のゾーンディフェンスのギャップを突いて決めたスリーポイントシュートは、相手の追撃ムードを断ち切る決定的な一撃となった。試合後には「松脇(圭志)が外から決めることで自分のペイントアタックも活きてくる」とコメントしており、チームメイトの活躍を自らのプレーに繋げてチームオフェンスを活性化させた。

#14 岸本隆一: 11得点 (3P: 3/7) | 3リバウンド | 3アシスト

試合開始直後の先制スリーポイントでチームに最高のスタートをもたらした。その後も要所で得点を重ね、ゲームの流れを読む冷静なプレーでチームをコントロール。攻守にわたり、ベテランらしい安定したパフォーマンスで勝利に貢献した。

三遠ネオフェニックス

#2 デイビッド・ヌワバ: 19得点 | 9リバウンド | 3アシスト

前半はキングスの厳しいマークに苦しんだが、後半は本来の爆発力を発揮。力強いドライブを中心に次々と得点を重ね、最後までチームを牽引する闘志を見せた。彼の奮闘がなければ、さらに一方的な展開になっていた可能性が高い。

#00 スティーブ・ザック: 13得点 | 11リバウンド | 2アシスト

チーム最多の11リバウンドを記録し、ゴール下で体を張り続け、ダブルダブルを達成。キングスの強力なインサイド陣であるクーリーやカークに対し、献身的なディフェンスとリバウンドで奮闘。チームのために戦う姿勢を最後まで見せた。

勝敗を分けたキーファクター

キングスの圧倒的なスリーポイント成功率

この試合の勝敗を最も象徴していたのが、両チームのスリーポイントシュートのスタッツだ。キングスが45.2%(14/31)という驚異的な成功率を記録したのに対し、三遠も決して悪くない37.9%(11/29)を記録したが、この差が最終スコアに直結した。特に#15 松脇が一人で7本を沈めたインパクトは絶大だった。彼の正確無比なアウトサイドシュートは、三遠が準備したゾーンディフェンスを外に広げさせ、結果としてインサイドに広大なスペースを生み出した。これにより、キングスはドライブやインサイドプレーが容易になるという好循環を生み出し、三遠のディフェンスを戦術的に機能不全に陥らせた。

ターンオーバーからの得点差

試合の流れを大きく左右したもう一つの要因が、ミスから生まれた得点差である。三遠は15回のターンオーバーを犯し、そこからキングスに28点もの得点を許してしまった。一方、キングスのターンオーバーは11回に抑えられており、攻守の切り替えにおける集中力の差が顕著に表れた。試合の要所で三遠のターンオーバーが続いたことで、キングスは効率的に得点を重ね、リードを広げることに成功した。

ベンチメンバーの貢献度の差

試合が終盤に進むにつれて、選手層の厚みの差も勝敗に影響を与えた。キングスのベンチメンバーが合計31点を記録したのに対し、三遠のベンチ得点は11点に留まった。キングスは#8 佐土原遼(13点)や#7 アンドリュー・ランダル(10点)が得点を重ね、セカンドユニットが試合の流れを加速させた。この貢献度の高さは、単なる数字以上の意味を持つ。佐土原が語ったように、スターターである#15 松脇の活躍が相手ディフェンスを広げ、ベンチから出場した自身のペイントアタックを活かす状況を生み出した。これは、スターターとベンチメンバーが見事に連動し、チーム全体で勝利を手繰り寄せたことを示す。

ヘッドコーチ・選手のコメント

琉球ゴールデンキングス

桶谷大 ヘッドコーチ

三遠のゾーンディフェンスはスカウティング通りであり、特にボールがよく動いている時間帯は効果的に攻めることができた」

前半の課題であったリバウンドをハーフタイムで修正し、後半に改善できた点を評価。

この勝利は特定のユニットの活躍だけでなく、出場した選手全員がそれぞれの役割を果たし、良い仕事をした結果であるとチーム全体を称賛した。

#15 松脇 圭志

最近の試合から自身のシュートタッチが良い感覚にあったため、この試合でも積極的にシュートを狙っていくことを意識していた。

シューターとしてシュートを決め続けるのが自身の仕事であり、このパフォーマンスをシーズン通して継続していきたいと力強く語った。

#8 佐土原 遼

コートに入った際は、まずディフェンスとリバウンドでチームに貢献し、そこから自身のプレーリズムを掴むことを意識した。

オフェンス面では、#15 松脇がアウトサイドシュートを高確率で決めることで相手ディフェンスが外に広がり、インサイドが空くことで自身の持ち味であるペイントアタックが活きたと、チーム内での相乗効果を分析した。

チームとして、シューターである#15 松脇にいかに気持ちよくシュートを打たせるかが、オフェンスを機能させる上で非常に重要であると話した。

次戦への展望

琉球ゴールデンキングス

4連勝と波に乗るキングスにとっては、この勢いを維持し、連勝を5に伸ばせるかが最大の注目点だ。GAME1の勝因となったスリーポイントシュートの精度をいかに維持できるかが鍵を握るだろう。三遠がディフェンスを修正してくることは必至であり、アウトサイドシュートへのプレッシャーが強まる中で、インサイドとのバランスを取りながら冷静に攻めきれるか。チームとしての対応力が試される一戦となる。

三遠ネオフェニックス

ホームで連敗は絶対に避けたい三遠にとって、GAME2はまさに正念場となる。最大の課題はディフェンスの修正だ。特にキングスの強力なシューター陣に対し、GAME1以上に厳しいプレッシャーをかけ、簡単にシュートを打たせないことが勝利への絶対条件となる。また、オフェンス面ではターンオーバーをいかに減らせるかが重要だ。ミスを減らし、自分たちの攻撃回数を増やすことで、キングスと互角に渡り合う活路を見出したい。ホームのファンの前で意地を見せられるか、チームの修正力が問われる。

(構成:湧川太陽、写真提供:琉球ゴールデンキングス)

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この記事を書いた人

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