キングス、激しい点の取り合いを制し富山に勝利 [2025.11.05]

11月5日(水)、B1リーグ第8節、琉球ゴールデンキングスvs富山グラウジーズが沖縄サントリーアリーナで行われ、最終スコア91-81でキングスがホームのファンの前で勝利を掴んだ。

目次

試合総括

試合はキングスが序盤から主導権を握る展開で始まったが、富山が第2、第3クォーターにかけてリーグ1位のスティールから生まれる速攻と、ゾーンディフェンスを駆使して猛追。一時は同点に追いつく。しかし、勝負の最終クォーターでキングスが攻守にわたる遂行力の高さと経験値を見せつけ、粘る富山を突き放した。

キングスは、#4 ヴィック・ローの21得点、#45 ジャック・クーリーの19得点10リバウンドを筆頭に、計4選手が二桁得点を記録するバランスの取れた攻撃を見せた。対する富山は二枚看板である#8 トレイ・ケルが両チーム最多の31得点、#12 ブロック・モータムが23得点と得点を重ねた。

第1クォーター:キングス 27 – 19 富山

試合の序盤、主導権を握ったのはホームのキングスだった。開始早々、#15 松脇 圭志が幸先よく3ポイントシュートを沈めると、インサイドでは#45 ジャック・クーリーが絶対的な存在感を発揮。このクォーターだけで10得点、6リバウンドを記録し、富山のインサイド陣を圧倒した。キングスは効果的なボールムーブから内外バランス良く得点を重ね、クォーター終了時点で8点リード。

第2クォーター:キングス 21 – 24 富山

追いかける富山は、第2クォーターに入るとディフェンスリバウンドへの意識を高めて反撃に転じた。リーグトップクラスのスティール数を誇るアグレッシブなディフェンスと、#8 トレイ・ケルを中心とした素早いトランジションゲームでキングスにプレッシャーをかける。さらに、ゾーンディフェンスでキングスのオフェンスリズムを崩し、着実に点差を縮めた。キングスはファウルトラブルに苦しみながらも、リードを死守。前半を48-43の5点差で終えた。

第3クォーター:キングス 18 – 21 富山

後半開始から富山の勢いはさらに加速。開始約2分半で、ついに50-50の同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。しかし、ここからキングスも反撃。#15 松脇 圭志が連続で3ポイントシュートを成功させるなど、一時は最大13点差までリードを広げた。だが、粘る富山はこのクォーターだけで4つのスティールを記録し、ゾーンとマンツーマンを頻繁に切り替えるチェンジングディフェンスも駆使してキングスに5つのターンオーバーを誘発。終盤にかけて再び点差を詰め、最終的に66-64のわずか2点差で最終クォーターを迎える。

第4クォーター:キングス 25 – 17 富山

勝敗が決する第4クォーター、キングスの底力が発揮された。チームを牽引したのは経験豊富なベテラン勢だ。司令塔の#14 岸本 隆一が勝負どころで3ポイントシュートを沈め、エースの#4 ヴィック・ローも重要な場面で確実に得点を重ねた。ディフェンス面では、富山の得点源である#12 ブロック・モータムに対し、3ポイントシュートを徹底的に封じるためのスイッチディフェンスを遂行。富山の得点を17点に抑え込むと同時に、自分たちは25点を奪い、最終クォーターの競り合いに終止符を打った。

試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/11/05 琉球 VS 富山 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

主要選手のパフォーマンス

チームの戦術や戦略は、個々の選手のパフォーマンスによってその成否が左右される。ここでは、両チームのキープレイヤーたちの活躍を振り返る。

琉球ゴールデンキングス

バランスの取れた攻撃で勝利を掴んだキングス。4選手が二桁得点を記録し、チーム一丸となった戦いぶりを見せた。

#4 ヴィック・ロー:21得点 | 5リバウンド | 3アシスト

チームハイの21得点を記録。特に第4クォーターの勝負どころで得点を重ねた。攻守にわたりチームを牽引するリーダーシップを発揮した。

#45 ジャック・クーリー:19得点 | 10リバウンド (OR 6) | 1アシスト

19得点、10リバウンドのダブルダブルを達成。特に6本のオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを演出し、インサイドを支配した。

#15 松脇 圭志:12得点 | 2リバウンド | 3アシスト | 3P 4/8本

成功率50.0%で4本の3ポイントシュートを沈め、チームに勢いをもたらした。特に第3クォーター、富山に追いつかれた苦しい時間帯での連続3ポイントは、リードを再び広げる起爆剤となった。

#14 岸本 隆一:12得点 | 4リバウンド | 7アシスト

ゲームハイとなる7アシストを記録し、司令塔としてオフェンスを巧みに組み立てた。第4クォーターには自らも得点を挙げ、チームに安定感と勝利への道筋を示した。

富山グラウジーズ

敗れはしたものの、二人のエースがチームを牽引し、最後までキングスを苦しめた。

#8 トレイ・ケル:31得点 | 5リバウンド | 1アシスト

両チーム通じて最多の31得点を記録。ドライブ、ジャンプシュートと多彩な攻撃スキルでキングスディフェンスを翻弄し、エースとしての役割を果たした。

#12 ブロック・モータム:23得点 | 7リバウンド | 2アシスト

インサイド・アウトサイドどちらからも得点を重ねて23得点をマーク。ケルと共に強力な二枚看板として、富山のオフェンスを牽引した。

#6 ウィリアムス ニカ:14得点 | 4リバウンド

14得点を挙げて、特に試合中盤の同点に追い付くセカンドチャンスポイントなど、インサイドでの奮闘がチームに勢いを与えた。

勝敗を分けたキーファクター

最終スコアは10点差となったが、途中経過はそれ以上に得点が拮抗。キングスがこの接戦を制することができた要因を、キーファクターから分析する。

リバウンドの支配とセカンドチャンスポイント 

この試合最大の勝因は、リバウンドでの圧倒的な優位性にある。キングスは総リバウンド数で46本(富山は33本)を記録。特にオフェンスリバウンドでは23本(富山は11本)と、富山の倍以上を奪取した。これがセカンドチャンスポイントの差(キングス31点、富山16点)に直結し、シュートが外れても攻撃権を維持し続けることで、着実に得点を積み重ねる原動力となった。

バランスの取れた得点源

富山の得点が#8 ケル(31点)と#12 モータム(23点)の二人に集中したのに対し、キングスは4選手が二桁得点を記録した。チーム全体で得点を奪うというキングスのスタイルが、富山の強力な個の力を上回った形だ。

記者会見

桶谷大 ヘッドコーチ 

桶谷HCは試合を振り返り、「第1クォーターは自分たちのペースでバスケットができた」と出だしの良さを評価。一方で、試合途中に#47 平良彰吾が負傷したことでガード陣が手薄になり、#14 岸本隆一らベテランのプレータイムが長くなった采配について「勝ちを増やしていきたいという思いから、最後はそちらを選んだ」と決断の意図を説明した。また、敗戦が続いた時期を乗り越え、チームが「ハードワークをする」というスタンダードを取り戻しつつあると話した。

岸本隆一 

岸本隆一は、「効果的な3ポイントシュートとリバウンドによって、自分たちのリズムで試合を進められた」と勝因を語った。個人のプレーについては、今シーズンは特に「ペイントアタックを意識している」と明かし、それがアグレッシブなプレーに繋がっていると自己分析。また、昨シーズンの怪我で重要な試合に出場できなかった経験から、「1試合1試合プレーできることが幸せ」と感じており、その喜びが大きなモチベーションになっていると述べた。

アンドリュー・ランダル 

アンドリュー・ランダルは、「今日の試合は日本人選手やヴィック・ロー選手の調子が非常に良かった」と振り返り、自らの得点に固執するのではなく、チームの状況を見極めることに徹したと語った。その中で、リーダーシップの発揮やベンチからの声かけ、コミュニケーションといった部分でチームに貢献することを意識していたと述べ、経験豊富なベテランらしい視野の広さを示した。

次戦への展望

試合中盤は接戦になるも、キングスは終盤までチームが崩れずに勝ち切った。チームの戦い方に手応えを感じたに違いない。この勝利でキングスの成績は8勝5敗となり、第8節終了時点で西地区5位と上位を追走する。

一方で、試合を通じて課題も見えた。特に、富山が見せたゾーンとマンツーマンを頻繁に切り替えるチェンジングディフェンスや、リーグ屈指のスティールを狙うアグレッシブなプレッシャーに対してターンオーバーを誘発された場面は、今後の強豪との対戦を見据えた上での明確な修正点だ。プレッシャーが強まる接戦において、いかにミスを減らし、安定した試合運びができるかが、今後のシーズンを戦い抜く上での鍵となる。

キングスの次戦は、昨季セミファイナルで激闘を演じた三遠ネオフェニックスとアウェーで対戦する。11月後半のバイウィークまで残り5戦。三遠とのアウェー戦は序盤戦の大きな山場となるはずだ。

(取材・構成:湧川太陽、写真:Hamataro)

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