3月24日(日)、沖縄アリーナで琉球ゴールデンキングス vs 秋田ノーザンハピネッツ GAME2が行われ、81-59でキングスが勝利した。
前日のGAME1を78-81で敗れ、リーグ戦の連勝が8で止まったキングス。そしてこの日は外国籍フォワード#4 ヴィック・ローが左膝のコンディション不良で欠場。万能フォワードのローが欠場したことで、キングスが「スリービッグ」戦術を継続するのか注目が集まった。
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キングスのスターティングメンバーは、#7 アレン・ダーラム、#14 岸本 隆一、#30 今村 佳太、#34 小野寺 祥太、#45 ジャック・クーリー。クーリーは2月3日のアルバルク東京戦以来、10試合ぶりのスターター復帰となった。
1クォーター、キングスは岸本のドライブ、今村の3ポイントで先手を取る。秋田はGAME1で好調だった#11 熊谷 航や#51 古川 孝敏が得点するも、キングスはベンチから登場した#15 松脇 圭志が2本の3ポイントを決めてチームを盛り立てる。1クォーター終了時のスコアは24-24の同点。
2クォーター、キングスは#10 荒川 颯、#88 牧 隼利がベンチからチームにエナジーを与える。荒川は3ポイント1本含む5得点。牧もうまくゲームをコントロールしながら#9 渡邉 飛勇に絶妙なロブパスを合わせる。松脇、荒川、牧の1997年生まれの「97年組」は、チーム貢献度を示すプラスマイナス値が松脇と牧は+16、荒川も+15と非常に高い値だった。2クォーター終了時のスコアは、42-33とキングスが9点リード。
3クォーター、秋田は元キングス所属でもある古川が連続得点で点差を縮めるが、キングスは焦ることなくダーラムを中心にバランスの良い攻撃で秋田を上回る。3クォーター終了時のスコアは、59-45とキングスが14点リード。
4クォーター、キングスは完全に試合の流れを掴んだ。ディフェンスでは秋田に簡単なシュートを許さず、6人が得点するバランスの良いオフェンスで点差を広げる。最終スコアは81-59でキングスは22点差で勝利した。
試合スタッツ:Bリーグ 2023-24 B1リーグ戦 2024/03/24 琉球 VS 秋田 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
試合後の記者会見でキングスの桶谷大ヘッドコーチは「今日は一つひとつののポゼッションを丁寧にゲームをしようと皆に話していて、そのためにはしっかりとリバウンドを制していく。ヴィックが不在の中で日本人選手もステップアップしてくれたし、ジャックもいつも以上に気合いが入ったプレーをしてくれた」とチームの復調に手応えを感じていた。
さらにセカンドユニットで登場した松脇、牧、荒川も高く評価した。「この3人の組み合わせは非常に良くて、それぞれ違った良さがある。松脇はトラップの読みが鋭いし外から射抜ける。オフェンスでガンガンいける荒川がいて、牧はその瞬間いちばんやりたい事をIQ持ってプレーできる。今日はそれが攻守ともに出た試合でした」
自身シーズンハイの13得点、さらに最終のプラスマイナス値でチームトップの+27を記録した牧も「天皇杯決勝、そして昨日のGAME1の敗戦もあり、個人としてもなかなかプレータイムが無かったなかで、今日は終始良い流れで試合を運べたと思っています」とプレーの手応えを感じていた。
牧はポイントガードとしてゲームをコントロールする役目を担っているが、ベンチからチームを見ながらどうやってチームメイトを活かすか常に考えていた。「マツ(松脇)が、スタメンから代わった天皇杯決勝から3ポイントが1本も入っていなかった。マツにどう3ポイントを打たせるかを結構考えていた。ヒュー(渡邉飛勇)と僕はピックアンドロールの相性が良いこともずっと話していた。なので、最初の一発目に飛ばしたパスでマツが決めてくれた事は、僕のゲーム感覚も落ち着いて良い流れで入れました」
1997年生まれの同級生、松脇と荒川については、牧本人もやり易さを感じているという。「高校や大学が同じだったわけではないんですが、フィーリングとしてはやはりやり易いですね。お互いの良さを無意識に理解しているというか、ベンチで見ていても『こうした方がいいよね』とか話し合ったり情報共有したりしています」
牧は福岡大学附属大濠高等学校(福大大濠)から筑波大学。松脇は土浦日本大学高等学校から日本大学。荒川は洛南高等学校から拓殖大学。それぞれバスケ名門校の出身で、牧によると学生時代からの友人というわけではないが、お互いに認識はしていたし何度か対戦したこともあったという。
その牧の出身高校である福大大濠高校は、この試合と同日に沖縄で試合をしていた。沖縄アリーナの隣にある沖縄市体育館で『おきなわカップ』に出場して、福大大濠は見事おきなわカップを優勝した。牧はもちろんその事を知っていて後輩たちの活躍を喜び、そして学生時代の経験が、牧自身のバスケットボールIQを磨くことに活きていると話した。
「福大大濠の片峯聡太先生に関しては、僕が3年生の時に全国大会で一度も優勝出来ず、その時は新しいバスケットに挑戦しようとしていた一年でした。後々振り返ってみると、あの1年間でやったバスケットボールはすごく頭を使うレベルの高いものでした。そしてそれ以上に片峰先生に感じるのはその人間力。僕なんか到底及ばないですけど、バスケットボール選手である前に、ひとりの人間としてしっかりしなきゃという気持ちは、片峰先生から教わったことで一番こころに残っています。
そして、その磨かれたバスケットボールIQと人間力を活かし、牧は学生時代とは異なるポジションであるポイントガードに挑戦している。牧はプロバスケットボール選手として新たな挑戦への喜びと、結果を残す責任の重さを語った。
「僕なんかに期待してくれるというか、まだまだ全然出来ていないですけど、琉球ゴールデンキングスというトップを目指すチームでチャレンジさせてもらえているのは本当にありがたいですね。一方、期待に応える以上に結果を残さなきゃ話にならないと思っているので、その点はシビアに自分に向き合っていきたいと思っています」
1997年12月14日生まれの牧隼利。現在26歳の彼はバスケットボール選手として、まさにこれから全盛期に入っていく。学生時代から培った様々な能力を最大限に活用して、時には敵として戦ってきた同世代の仲間たちと共に、さらにチームを引っ張ていく存在になれるはずだ。