「最高の一体感」で桶谷JAPAN勝利なるか!? 日本代表vs中国代表 ゲームプレビュー [2026.02.26]

ついに桶谷JAPANの大航海が始まる。2026年2月26日(木)、FIBA バスケットボールワールドカップ 2027 アジア地区予選 Window2 日本代表 vs 中国代表が、沖縄サントリーアリーナで開催される。

試合前日となる2月25日、日本代表ロスター12名が発表された。渡邊雄太、富樫勇樹、馬場雄大など2023年FIBAワールドカップを戦った主力選手たちが順当に選ばれた一方、帰化選手枠はジョシュ・ホーキンソンではなく、アレックス・カークを選択してきた。さらにシェーファーアヴィ幸樹、渡邉飛勇というビッグマンの層も厚く編成してきた。

参考:バスケットボール男子日本代表チーム『FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選 Window2』2月26日(木) 中国戦 ロスター(12名)発表 | 公益財団法人日本バスケットボール協会

桶谷JAPANがどのような意図でこのロスター編成を組んだのか。沖縄合宿におけるコーチ、選手の声から読み解いてみる。

目次

注目マッチアップ 馬場雄大 vs ジャオ・ルイ

馬場雄大は中国代表のエース、ジャオ・ルイにマッチアップすることを明言した。

馬場は196cm、ジャオ・ルイは195cmであり、ともにフィジカルサイズと運動能力を兼ね備えている。

2025年アジアカップ準決勝では、ジャオ・ルイが24得点、3ポイント5本成功と大活躍してニュージーランド代表を破る立役者となった。彼の力強いドライブは中国代表の最大の武器であり、そこからディフェンスを崩して相手を混乱に陥れるのが中国代表のリズムである。

馬場が試合開始当初からジャオ・ルイを徹底的にマークし、ボールから離させるように仕向けることができれば、日本代表は先に主導権を握ることができる。

逆に馬場が早い段階でファウルトラブルに陥った場合、日本代表は苦しい戦いを余儀なくされる。馬場だけでなく、バックアップ役を務めるであろう原修太の奮起も期待される。

「まずはディフェンスで相手にファーストパンチをお見舞いする」―これが日本代表の最初のミッションである。

「不動の帰化枠」ホーキンソンではなくカークを選択した理由

桶谷大ヘッドコーチは、代表監督初戦でいきなり大きな決断を下し、帰化選手枠にジョシュ・ホーキンソンではなく、アレックス・カークを起用した。

208cm、106kgのホーキンソンはトム・ホーバス前HC体制では帰化選手として不動の地位を築いてきた。スクリーン、リバウンド、そしてガードとのピックアンドロールあるいはピックアンドポップといったプレーで、無尽蔵のスタミナと高い運動能力でチームのために身体を張り続け、その献身性で今までの日本代表の躍進を支えてきた。

それに対してアレックス・カークは211cm、114kgと身長でホーキンソンを若干上回る。近年は機動力よりも高さを前面に出したプレーを得意とする。非常に高いバスケIQを誇り、チームの約束事を忠実に実行する。オフェンス時には適切なスペーシングでスクリーンやリバウンドを駆使し、相手ディフェンスを苦しめる。ペイントエリア外側からのミドルジャンパーも得意である。

桶谷HCがホーキンソンではなくカークを選択した理由は、中国代表センター陣に対するマッチアップを考慮した上で、「カークでインサイドのアドバンテージを奪う」という明確なメッセージを打ち出すためである。

カークがホーキンソンより優れている点は「重さ」である。106kgと114kgという体重差だけではなく、体格の横幅もカークの方が大きく、日本代表のガード陣を自由にするスクリナーとしてはカークに軍配が上がるだろう。カーク自身も、ホーキンソンとの違いを「僕の方がより大きく、スクリナーとしては効果的」と話していた。

さらに、中国代表のセンター陣は全員211cmを超える「万里の長城」である。特に若手ビッグマンの#11 余嘉豪(ユー・ジャハオ Jiahao Yu)は221cmというスーパーサイズだが、彼らはスピードが特段速いわけでもなく、ピックアンドポップで3ポイントを狙ってくることもほとんどない。「万里の長城」に対抗するために、より重く、より高さのあるカークを選択したというわけである。

シェーファーアヴィ幸樹、渡邉飛勇とともに、中国代表センター陣との「リバウンドバトル」を制することができるかが焦点となる。沖縄アリーナの大声援を受けて、アレックス・カークがペイントエリアを支配する準備は整っている。

「ポジションレス」桶谷JAPANを体現する西田優大

オフェンス面で日本代表の鍵を握るのは西田優大である。西田のユーティリティ性は、桶谷JAPANのオフェンスの生命線となるだろう。

まず、ここではっきりさせたいのが「桶谷大のバスケットボールはインサイド偏重」という「誤解」だ。琉球ゴールデンキングスのジャック・クーリーやアレックス・カークというビッグマンのリバウンド能力が印象が強すぎることから、トム・ホーバス前体制から真逆のバスケットボールになるのではという憶測が一部ファンの間に広がっているが、それは誤解であると断言できる。

桶谷バスケットボールの真髄は「人とボールが動くポジションレスバスケットボール」である。これは近年の5アウトバスケットボールとは異なり、3ポイントライン内を含むハーフコートで常に適切なスペーシングとポジショニングを取り続け、ボールを動かしながら「より適切なシュートシチュエーションを創造する」ことを志向する。

もともと桶谷HCは、トライアングルオフェンスをベースとするオフェンスを好んでいた。しかし近年、特にBリーグでキングスのヘッドコーチに就任してからは、よりスペーシングを広く使うハーフコートオフェンスに形を変えてきている。以前、桶谷ヘッドコーチは「昔は(トライアングルに)選手を当てはめていたこともあったが、より選手の個性に戦術を合わせた方が良い結果が出る」と筆者に話していた。

ポイントガードがボールハンドラーとなり、ビッグマンとのピックアンドロールから全てが始まる前の体制とは異なり、様々な選手がボールハンドラーとなり、ハーフコートの様々な場所から相手ディフェンスを崩しにかかる。そんな日本代表の姿が予想される。

そこで重要になるのは「ポイントガード以外のボールハンドラー」である。桶谷バスケでは、フロントコートへボールキャリーしてきた選手がそのままハーフコートエントリーすることは少なく、そこからウイングプレーヤーにボールを落とし、ゴールアタックを開始することも多い。桶谷バスケはひとつのプレーでディフェンスを崩すのではなく、コートの5人が少しのズレを積み重ね、「良いシュート」を探していく。そのためにはより多くの選手がハンドラーとして機能する必要があるのだ。

西田雄大はその役割にピッタリとはまる。西田は所属する三河でもボールハンドラーとしてスクリーンを上手く使いながら、ペイントエリアにスムーズに侵入することを得意としている。三河のHCであるライアン・リッチマンが日本代表のオフェンス担当ACなのも好材料である。西田自身も「ライアンのオフェンスを理解しているので、僕が先頭に立って彼のバスケットを伝えたい」と話していた。西田の崩しから、3ポイントラインで待つ富永啓生や金近廉などの3ポイントシューターがゴールを射抜き、日本代表オフェンスに活気をもたらすことが期待される。

「スティールを狙う」吉本”Dice”泰輔ACとともにアグレッシブな守備に生まれ変わる日本代表

日本代表のディフェンスがどれだけ変化するかも注目が集まる。吉本「Dice」泰輔ACが整備するディフェンス面は、「より統率された守備を目指す」と語るとおり、前体制と大きく変化する可能性が高い。

ボールエントリーの時点から激しくボールプレッシャーを仕掛け、相手のターンオーバーを誘発させる守備を志向しそうだ。桶谷HCは「スティールから相手のターンオーバーを積極的に狙っていきたい」と話す。

ディフェンスでの日本代表のキーマンは、渡邊雄太だ。ハーフコートディフェンスではスイッチディフェンスやローポストへのダブルチームが多くなる事が予想される。そこで鍵になるのが渡邊雄太がコートを駆け回るカバーリングだ。相手エースへのマッチアップを馬場雄大に任せることにより、渡邊雄太のサイズとリーチの長さがカバーディフェンスでより活きてくる。渡邊は「組織的なディフェンスを目指しているが、それはリスクも伴うことになる。だからこそ全員の共通理解が重要になる」と話す。NBA時代から交流があったという渡邊雄太と吉本泰輔AC。彼らがNBAで培った組織的ディフェンスで、中国代表の自由を奪いたい。

“Same Page”こそが、桶谷JAPAN 最大の武器

桶谷JAPANが船出した沖縄合宿を取材していくなかで、気づいた「変化」がある。以前の日本代表で選手達がメディアへ話す内容は、コンセプトこそ同じであるが、それぞれの選手が、それぞれの言葉で語っていた。

しかし、桶谷JAPANが始まってから「同じ単語」を使って話す事が多くなった。共通理解、より統率されたディフェンス、ポジションレスでのオフェンス… 決して前体制がバラバラだったと言いたい訳ではない。だが選手たちが「同じ単語」を使うということは、それだけ選手たちのマインドの中に「同じ言葉」が埋め込まれているという証拠だ。

桶谷HCが好んで使う言葉に “Same Page” というワードがある。日本語で表現すれば「同じページ = 共通理解」といったところだろう。ただ、桶さんの使う “Same Page” には、「選手、コーチ、そしてチームに関わる全ての人が同じ方向を向く」という意味も込められている。もちそんそれは、私たちファンも含まれている。

沖縄という「バスケの聖地」で、「最高の一体感」を。それさえ出来れば、桶谷JAPANの歓喜はすぐそこにある。

(写真・文:湧川太陽)

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