1月26日(日)、琉球ゴールデンキングス vs 宇都宮ブレックス GAME2が沖縄アリーナで行われ、97-88でキングスが勝利した。
前日のGAME1を86-105で敗れたキングス。ホームでの同一カード連敗は許されない。
1クォーター ディフェンスからリズムを掴むキングス
キングスのスターティングメンバーは、#4 ヴィック・ロー、#14 岸本 隆一、#15 松脇 圭志、#18 脇 真大、#45 ジャック・クーリー。
宇都宮のスターティングメンバーは、#6 比江島 慎、#9 遠藤 祐亮、#10 竹内 公輔 、#25 D.J・ニュービル 、#34 グラント・ジェレット。
1クォーター、先制点は宇都宮。ピックアンドロールからニュービルのパスを受けたジェレットのダンクが決まる。キングスは岸本のレイアップが外れるもクーリーがプットバック。どちらも最初のオフェンスを成功させた。
キングスは松脇のスリーポイント、岸本のドライブにクーリーが合わせショートレンジのシュートを立て続けに決める。宇都宮はニュービルのドライブからレイアップ、遠藤のスリーポイントなどで応戦。互いに確率高くシュートを決めあうハイスコアゲームとなる。
キングスのディフェンスインテンシティーは非常に高く、宇都宮にプレッシャーをかけ続けた。ボールコントロールを失ったニュービルが速攻に入る岸本に手をかけ、アンスポーツマンライクファウルが宣せられるなど、キングスはディフェンスからリズムを掴み優勢に試合を進めた。宇都宮はディフェンスを崩せない状況でも、難しい状況からスリーポイントを決めてキングスを追走。1クォーターは33-30とキングスが3点リードで終了。
2クォーター ファイトする姿勢に湧き上がる沖縄アリーナ
2クォーターのキングスは#12 ケヴェ・アルマが好調。プルアップジャンパーが決め、さらにディフェンスリバウンドを奪うとそのままボールプッシュ、伊藤のリターンパスを受け豪快な左手ダンクを叩き込み、キングスが試合の主導権を奪う。さらに速攻から荒川颯のコーナースリーで41-30とキングスのリードは9点に広がった。
宇都宮はタイムアウトで立て直しを図り、ニュービルのスリーポイント、遠藤からジェレットへのアリウープ、さらに遠藤、比江島のスリーポイントなどで46-44と2点差に詰め寄った。
だがキングスはカーク、ローのオフェンスリバウンドからの得点で再びリズムを取り戻す。さらに脇が比江島からスティールすると、ジェレットのファウルを受けながらもレイアップを決める。前日のGAME1と違いファイトする姿勢に沖縄アリーナが湧き上がる。キングスが56-50と6点リードで前半を終了した。
3クォーター アルマの攻撃力が爆発する
キングスは前半同様に高い集中力を発揮。クーリーが比江島のパスをカットして宇都宮の最初のオフェンスを封じると、クーリーがリングアタックでジェレットのファウルを受けながらもシュートを決める。さらにクーリーはスクリナーとして岸本のスリーポイントをお膳立て。大黒柱クーリーの活躍でキングスは61-52と9点差にリードを広げる。
そのクーリーが直後に3つ目のファウルを犯しベンチに下がるが、代わって入ったカークとアルマがキングスに更なる勢いをもたらす。カークはゴールでパスを受けるとジャレットをかわしながらシュートをねじ込む。
宇都宮の攻撃の起点となる比江島に対し、キングスはスイッチとローテーションを駆使してチームディフェンスで自由を奪った。ニュービルにはアルマが長い手足を活かしたシュートチェック、ドライブにもしっかりと対応し、ニュービルのシュートをブロックと隙のない完璧な対応を見せた。
アルマはオフェンスでもチームを牽引、このクォーターだけで3本のスリーポイントを含む10得点の活躍で、キングスは81-68と13点差にリードを広げ3クォーターを終了した。
4クォーター アルマのキャリアハイ31得点でキングス勝利
点差を縮めたい宇都宮だが、岸本がペイントに侵入、見事なバンクショットを沈めて4クォーターもキングスが先手をとる。宇都宮は遠藤がスリーポイントファウルを岸本から奪い、フリースローを3本すべて決める。互いにシュートを決めきれない時間が続くが、残り6分、ローがコーナーからのスリーポイントを決めて、86-73と13点差にする。
だが宇都宮はすぐに#12 高島 紳司がスリーポイントを決め返し、さらにジェレットのダンクで残り05:08で86-78と8点差に詰め寄ってきた。オフィシャルタイムアウト直前だったが、キングスはここで後半最初のタイムアウトを取る。
宇都宮はオールコートでディフェンスでプレッシャーをかけるが、キングスはローを中心に冷静にオフェンスを組み立てる。カークからのハンドオフでボールを受けた松脇がインサイドを意識させ、カークのスクリーンでフリーとなったアルマが、このゲーム5本目のスリーポイントを決めた。89-78と再び点差を2ケタに広げてオフィシャルタイムアウト。
キングスは一貫して高いディフェンスインテンシティーを保ち、簡単なシュートを許さない。オフェンスでは時間を消費しながら、絶好調のアルマにボールを預けた。アルマはチームの期待に応え、スリーポイント、ダンク、フリースローと縦横無尽に得点を重ねた。
アルマはBリーグキャリアハイとなる31得点を記録し、粘る宇都宮を退け97対88でキングスがGAME2を制した。
試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 B1リーグ戦 2025/01/26 琉球 VS 宇都宮 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
宇都宮のような強敵には一瞬のスキも許されない
キングスの桶谷大ヘッドコーチは「GAME1の19点差の大敗から選手たちがよくカムバックしてこの逆境を乗り越えてくれた」「GAME1はリバウンドで負けていたので、今日のGAME2は僕たちが今までやってきたリバウンドで勝つための戦術に戻した。宇都宮のような強いチームとの対戦では、高い緊張感のポゼッションがずっと続く中、選手たちは集中力を切らさずに相手を苦しめるプレーを徹底してくれた。それが勝利という結果に繋がった」とチーム全体が奮起した勝利だと強調した。
宇都宮が得意とするスリーポイントも、試投数は44本とGAME1より増えたものの成功数は14本。キングスはディフェンスでも宇都宮を苦しめた。「オープンでのスリーポイントはGAME1より少なく、僕らのディフェンスでその状況に仕向けることが出来た」
宇都宮のような強敵に勝つには一瞬のスキも許されない。桶谷ヘッドコーチは勝利のために厳しい姿勢も見せた。「GAME1の冒頭で、比江島君へのハンドオフにアンダーを通ってスリーポイントを決められた。今日は絶対にそんな事をするなと伝えていたのに、出だしでいきなり松脇がアンダーを通ったのでふざけるなと交代させた。宇都宮が嫌がっている事を、昨日と今日の冒頭で僕らがそれを徹底できないのでは勝てない。本当に勝つためには試合の最初のワンプレーから徹底する。全体的には良かったんですが、もっと厳しく徹底していきたい」
桶谷大ヘッドコーチは大活躍したケヴェ・アルマに関して「ケヴェは熱くなるタイプなので平常心でバスケットをする事が重要。プレーオフに入ったら自分の思うようにはファウルを取ってくれない。そういう中でもゴールを決め切らないといけない」と更なる成長を期待した。
Bリーグキャリアハイを更新する31得点のアルマは「ハーフタイムまでで自分のシュートタッチが良いと感じたので、今日は多く得点出来そうだと思ったよ」と自信を持ってシュートを放ち、5本のスリーポイントを決めた事を振り返った。
アルマは長距離シュートだけではなく、その高い身体能力からの豪快なプレーも持ち味だ。この試合は3本のダンクを叩き込んだ。「ダンクを決めることはいつも気持ち良いけど、左手で叩き込んだダンクは特に気持ち良かったね。」遠い踏切位置からの滞空時間の長いダンクも決めたが「僕はけっこうアスレティックだから、あれくらの距離はちょうど良かったかもね」と笑顔で振り返った。
アルマの大活躍に霞んでしまったが、この試合で終始キングスが優位に進められたのは、ヴィック・ローの貢献が非常に大きかった。
ローはチームトップの出場時間34分11秒で、18得点11リバウンド7アシストとオールラウンドに活躍。守備でも献身的にコートを駆け回り、宇都宮のオフェンスを苦しめ続けた。
アルマの決めた5本のスリーポイントのうち3本はローのアシストだった。さらにアシストの付かない場面でも、ローの冷静なゲームコントロールは光った。4クォーター残り4:50、キングスのタイムアウト直後のプレー。松脇のアシストからアルマがスリーポイントを決めた場面。タイムアウト直後だけにデザインされたプレーかと思いきや、桶谷ヘッドコーチは「あれはヴィックがコートの状況を見て、自分たちが持っているプレーセットの中からコールしたプレーでした」と明かしてくれた。
ローはその情熱的なエナジーと他を圧倒するプレーレベルが魅力だ。昨季まではそのエナジーが暴走してしまい、ゲームを壊してしまう場面も見られていた。
だが今季はそのような場面はほとんど見られない。ゲームキャプテンとしてチームメイトを鼓舞し、他の選手のミスをカバーし、ディフェンスやリバウンドにも献身的にプレーする。何より素晴らしいのは、オンコートでのコミュニケーション。この試合でも、スリービッグの時間帯にアルマやカークに何度も声をかけて冷静さを忘れさせず、プレーが止まった瞬間に自分から仲間を集めてハドルの中心でプレーを確認する。
桶谷ヘッドコーチも「ヴィックは昨季とは比較にならないくらい『リーダー』になってきている」と信頼を寄せる。アルマもローを兄貴分のように慕っている。「彼はコート上では素晴らしいリーダーですし、練習中からリーダーとして振る舞ってくれている。練習後もコーチマックのように、僕がより成長できるようアドバイスをくれるんだ。オフコートでは一緒に食事に行ったり、ぶらぶらしたりして過ごしているよ。彼の元で僕は成長出来ている気がするし、とても良いチームメイトだよ」
東地区首位の宇都宮との激戦を1勝1敗で終えたキングス。しかし1月29日(水)には元キングスの藤田ヘッドコーチ、牧隼利を要する大阪とのホーム戦。2月1日(土)、2日(日)にはアウェーで優勝候補のA東京との対戦と続いていく。2月のバイウィークまでのスケジュールをどう乗り切れるか。キングスの今季を大きく占う連戦が続いていく。
(文:金谷康平、構成:湧川太陽、写真:Hamataro)