1月8日(木)、第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会 ファイナルラウンド準々決勝が国立代々木競技場体育館(東京都)で行われ、琉球ゴールデンキングス vs シーホース三河は 85-92で三河が勝利した。
前年度王者として大会連覇を目指す琉球ゴールデンキングスと、10年ぶりの天皇杯奪還を狙う古豪シーホース三河。Bリーグ西地区でも3位の三河と4位のキングスはチャンピオンシップ進出圏内を争う。そのライバル同士が一発勝負のトーナメントで激突した。奇しくも両チームは1月3日、4日のリーグ戦でも対戦し1勝1敗で終えており、6日間で3回目の対戦という「手の内を知り尽くした者同士」の再戦となった。
試合は、三河が第1クォーター開始直後の猛攻で主導権を完全に握る展開で始まった。キングス桶谷大HCが試合後に指摘したキングスの「試合の入り」の甘さを、三河が容赦なく突き崩す構図だった。キングスは第3クォーターに若手の奮闘で猛追するも、要所を締めた三河の勝負強さの前に屈した。この敗戦により、キングスの天皇杯連覇の夢は準々決勝で潰えることとなった。

第1クォーター:挑戦者が突きつけた、王者の油断 (キングス 16-27 三河)
三河は試合開始から内外自在の攻撃を展開し、10対0のランに成功。キングスはいきなりタイムアウトを強いられる苦しい立ち上がりとなった。
この爆発的なスタートを牽引したのは、ベテランシューターの#27 石井講祐だった。彼の得点は、速攻から生まれるトランジション3ポイントだけでなく、ダバンテ・ガードナー選手のスクリーンを巧みに利用したセットプレーからもたらされるなど、キングスディフェンスを多角的に切り裂いた。彼はこのクォーターだけでシーズンハイに並ぶ15得点を記録し、チームに絶大な勢いをもたらした。
一方のキングスは、桶谷大HCが試合後に「自分たちに火をつけられなかった」と語ったように、攻守両面で後手に回った。ディフェンスでは、#14 岸本隆一が「ワンスクリーンだったり、1回のキックアウトでアウトサイドを沈められた」と指摘した通り、簡単なプレーで三河のシューター陣に自由を与えてしまったことが、大量失点の要因となった。キングスは「油断」とも取れる立ち上がりで、最初のクォーターを16-27の11点ビハインドという大きな代償を払うことになった。

第2クォーター:戦術的優位を確立した三河、リードを維持 (キングス 18-25 三河)
第2クォーターに入っても、三河の勢いは止まらない。キングスのピックアンドロールディフェンスでドロップを選択すると、三河のガード陣はそれを逆手に取った。特に#11 久保田義章は、スクリーン役の選手を守るカーク選手が下がっているのを見逃さず、立て続けにプルアップ3ポイントシュートを成功。4点プレーも記録し、キングスのディフェンス戦略を効果的に打ち破った。
キングスオフェンスは、#53 アレックス・カークのインサイドプレーに大きく依存する形となった。彼は前半だけでチーム最多の16得点を挙げ、大黒柱としての役割を果たした。また、チーム全体としてターンオーバーをわずか2つに抑えた点は、後半の追い上げに繋がるポジティブな要素であった。しかし、三河の多角的な攻撃の前に点差は広がり、前半を34-52という厳しいスコアで終えた。

第3クォーター:若手が呼び覚ました王者の魂 (キングス 24-16 三河)
後半、キングスは全く別のチームに生まれ変わった。特にディフェンスのインテンシティが劇的に向上し、試合の流れを大きく引き寄せる。この変化の中心にいたのが、#18 脇真大や#10 荒川颯といったセカンドユニットだ。彼らがコートにもたらしたエナジーはチーム全体に伝播。戦術的にも、ビッグマンを含めたオールスイッチや、ボールマンへ激しくプレッシャーをかけるハードショーを敢行し、三河のオフェンスを停滞させた。
オフェンスでは、このディフェンスからの流れを活かし、荒川選手が3本の3ポイントシュートを成功させると、脇選手も得意のドライブと貴重な3ポイントシュートで続き、攻撃の起爆剤となった。キングスの猛追により、最大21点あった点差はついに58-68の10点差まで縮まり、勝負は最終クォーターへともつれ込んだ。


第4クォーター:三河が勝負強さを見せつけ、キングスの追撃を振り切る (キングス 27-24 三河)
最終クォーター、流れを掴みかけたキングスに対し、三河が再び牙を剥く。序盤、#13 須田侑太郎、#18 角野亮伍が連続で3ポイントシュートを沈め、一気にリードを17点に広げた。この重要な場面での勝負強さが、三河の大きな強みであった。
しかし、キングスも諦めない。試合終盤、#4 ヴィック・ローと#14 岸本隆一が連続3ポイントシュートを決め、残り3分を切って再び1桁の8点差に詰め寄る。会場のボルテージが最高潮に達する中、勝敗の行方を決定づけるプレーが生まれた。残り2分を切った場面で、ヴィック・ロー選手のドライブがターンオーバーに終わると、それをスティールした#1 トーマス・ケネディからパスを受けた#19 西田優大が、値千金のトランジションレイアップを成功。さらにその直後、ケネディ選手が豪快なダンクを叩き込み、キングスの追撃ムードを完全に断ち切った。最終スコアは85-92。試合は、序盤のリードを守り抜いた三河に軍配が上がり、キングスの天皇杯連覇を打ち砕いた。
試合スタッツ:BOXSCORE | 第101回天皇杯・第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会 | 琉球ゴールデンキングス vs シーホース三河 | 2026年1月8日(木)


主要選手のパフォーマンス
琉球ゴールデンキングス
#53 アレックス・カーク: チーム最多の24得点を記録。劣勢の展開の中でも、インサイドで体を張り続け、オフェンスの確固たる基点であり続けた。彼の存在がなければ、キングスの追撃はあり得なかっただろう。

#4 ヴィック・ロー: 18得点、14リバウンド、9アシストと、トリプルダブルに迫るオールラウンドな活躍を見せた。しかし彼の真価は数字以上にある。特に第4クォーターの追い上げの中心となり、得点、リバウンド、アシストの全てでチームを牽引した。

#10 荒川 颯 & #18 脇 真大: この2人の若手が、第3クォーターの猛追劇を主導した。ベンチからコートに立つと、そのエナジー溢れるプレーでチームに火をつけた。彼らの激しいディフェンスと得点力がなければ、試合は一方的な展開で終わっていた可能性が高い。


シーホース三河
#27 石井講祐 (21得点, 3P 4/7): まさに試合の起爆剤。第1クォーターだけで15得点を挙げる圧巻のパフォーマンスで、チームに圧倒的な勢いと心理的アドバンテージをもたらした。彼のシーズンハイとなる21得点は、三河の勝利に不可欠なものだった。

#19 西田優大 (14得点, 8アシスト): 試合を締め括ったクローザー。キングスが猛追を見せた第4クォーター終盤、連続得点でその流れを断ち切るビッグプレーを披露。得点だけでなく8アシストとゲームメイクでもチームを牽引し、エースの働きを見せた。

#7 長野誠史 (8得点, 10アシスト): コート上の司令塔として卓越したゲームメイク能力を発揮。記録した10アシストは、三河の多様なオフェンスを演出し、多くの得点機会を創出した。彼の冷静な判断力が、チームに安定感をもたらした。

勝敗を分けたキーファクター
序盤の主導権を決定づけた三河の3ポイント攻勢
三河の勝利の最大の要因は、試合開始直後の圧倒的なオフェンスにある。三河はキングスディフェンスが抱える構造的欠陥を巧みに突き、ピックアンドロールに対してビッグマンが下がるドロップディフェンスを逆手に取った。特に#53カークを守る選手を意図的にスクリーナーとして使い、カークがペイントエリアから出てこない一瞬の隙を突いてフリーのシューターを創出。これにより#27石井や#11久保田がオープンで3ポイントを放ち、序盤の大量リードを築いた。このリードが試合全体を通じて三河に精神的な余裕を与えた。

キングスの後半のディフェンス修正とセカンドユニットの躍動
劣勢に立たされたキングスが後半に見せた修正能力は見事だった。前半のドロップ戦術を捨て、ビッグマンも含めた全員がスイッチするオールスイッチや、ピックアンドロールに対して激しくプレッシャーをかけるハードショーを敢行。この戦術的修正が三河のオフェンスリズムを完全に狂わせた。この流れを変えたのが、#10荒川颯や#18脇真大といった若手を中心としたセカンドユニットだった。彼らのエナジー溢れるプレーがチームに火をつけ、一時は試合をひっくり返すかのような勢いを生み出した。

クラッチタイムにおける遂行力の差
最終的に勝敗を分けたのは、試合終盤の「クラッチタイム」における遂行力だった。三河はエースの#19西田優大が冷静に勝負を決めるシュートを沈めたのに対し、キングスは追い上げの勢いを自ら止めてしまう痛恨のターンオーバーやオフェンスファウルを犯してしまった。最後の局面での冷静さと勝負強さという点で、三河が一枚上手だった。

ヘッドコーチ・選手会見の要約
桶谷大ヘッドコーチ
Q:相手の3ポイントシュートが高確率で決まり、非常に難しい試合展開となりました。試合全体を振り返っての評価を教えてください。
桶谷HC: 一番の要因は試合の出だしです。自分たちで「やらなきゃいけない」という強い意識はありましたが、結果として自分たちに「火をつける」ことができませんでした。 三河の石井(講祐)選手にリバウンドを拾われたところから始まり、連続で3ポイントを決められ、さらに自分たちのターンオーバーも重なって0-10というランを作られたことで非常に苦しくなりました。これにより相手はプレッシャーを感じずに自分たちのバスケットができるようになってしまいました。 今日のスタートメンバーは経験豊富で、こうした舞台でも力を発揮できると思っていましたが、逆に「やらなければ」と考えすぎてプレイが硬くなってしまった面があると感じています。中盤以降、吹っ切れた若い選手たちがエナジーを持ってディフェンスをしてくれたことで、ようやく最後にゲームと言える形まで持っていくことができましたが、これが今のチームの現状であり、新しい経験として受け止めてレギュラーシーズンに切り替えて戦っていきたいです。
Q:追い上げの場面を作りながらも、最後にもう一歩届かないという「もどかしさ」があったかと思います。あのような接戦を勝ち切るために、どのような点を修正すべきだと考えていますか?
桶谷HC: 単純に「ここで決めたい」というシュートを決めきれなかったこともありますが、結局はリバウンドだと考えています。 相手のシュートが落ちた後にリバウンドを取られて繋がれ、サードチャンスで決められてしまう場面がありました。ディフェンスを頑張っても最後のリバウンドが取れない、そこが今の自分たちの弱さです。 これは特定の選手がいるから強いということではなく、チーム全員がディフェンス意識を持って取り組むべきことです。結局はルーズボールの争いで三河さんに劣っていたことが、どちらがより「勝ちたいか」という思いの差として勝敗に直結したのだと思います。
Q:先週末にリーグ戦で対戦したばかりの相手でしたが、短期間での再戦において、やりにくさや前回との違いは感じましたか?
桶谷HC: お互いに手の内を知り尽くしている中でのゲームだったので、どちらもやりにくさはあったはずです。 戦略的にはボールピックのカバレッジを変えるなどの調整も行いましたが、それ以上に問題だったのは、シュートが外れた後のルーズボールへの反応や、出だしのターンオーバー、そしてボールムーブメントの停滞です。 せっかくポケットゲームで点を取れていたのに、途中でボールが動かなくなったり、インサイドを強調できなくなったりしました。「自分がやらなければ」という思いが強すぎて、無理な形でプレイしてしまった部分があったと思います。昨日はその強引さが功を奏した場面もありましたが、今日は三河さんにそこを見透かされていました。こうした点もしっかり見直していかなければなりません。
Q:後半の追い上げについては、やはり守備のギアを一段階上げたことが大きかったのでしょうか。
桶谷HC: 間違いなくそこ(守備)だと思います。 セカンドユニット(控え選手)が入ったことで一気にディフェンスが良くなり、流れを引き寄せることができました。ただ、終盤に得点を追いかけるためにメンバー構成を変えたところで、またバランスを崩してしまった部分もあります。 勝つためには、綺麗なプレイばかりを求めるのではなく、ルーズボールなどの「泥臭いこと」をもっと徹底しなければなりません。それが本来の「キングスらしさ」であり、チームの土台であるべき姿です。今日はその土台の部分で三河さんに上回られてしまったと感じています。

岸本隆一
Q:率直に今のお気持ちを教えてください。終盤に追い上げを見せたものの届かず、大会2連覇を逃す結果となりました。
岸本: この大会に関しては「ここまでか」という思いです。今の気持ちは一言では簡単に表せませんし、単に「悔しい」という言葉ともまた違う、すごく考えさせられる試合だったと感じています。
Q:この敗戦をどのように修正し、残りのシーズンへ繋げていきたいと考えていますか?
岸本: まずは「続けること」だと思っています。どのタイミングでチームが良い方向に動くかは分かりませんし、今日の試合でも予想できないところから自分たちの流れに持っていけた場面がありました。ただ、「何をどう続けていくのか」については、正直まだ自分の中でもぼんやりとしているので、この中断期間でしっかり整理したいです。今日のような試合展開は初めてではありません。もっと自分たちの中で危機感を持って、プラスアルファで何ができるのかを突き詰めていく必要があります。
Q:前半に相手の3ポイントシュートを多く決められたことが響いた印象です。これは予想以上の確率だったのか、あるいは「キングス対策」をされたと感じる部分はありましたか?
岸本: 相手のパフォーマンスが個々の平均を上回っていた面はありますが、特別な対策というよりは「やられ方」に問題があったと感じています。必死に守り抜いた末に決められたのではなく、ワンスクリーンや一度のパスアウトといった単純な形で沈められてしまいました。これはチームディフェンスが機能していなかったことや、個々人の責任が伴っていなかった結果だと反省しています。
Q:今の状況は、長いキャリアの中で「以前にも見たことがある光景」に近いのでしょうか。それとも、近年のチーム状況においてはまた違う意味合いを持っていますか?
岸本: 毎年似たようなシチュエーションはありますが、紐解いていくと全く同じということはありません。特に今回の大会は、このレギュレーション(集中開催)で行われる特別なものでした。「じゃあ次」と簡単に切り替えられる大会ではありませんし、何よりこのメンバーで毎年戦える保証もありません。そうした意味でも、今は本当に残念な気持ちです。
Q:キングスが勝ち続けてきたからこそ、周囲からは「勝率6割でも大丈夫か」と心配されるようなタフな状況だと思います。こうした周囲の声については、ハードルが高すぎると感じますか?それとも力に変えていますか?
岸本: 思いとしては半々です。プロ選手として応援してくれる方々の声は無視できないものですし、それを力に変えなければならない職業だという自覚はあります。自分たちが積み重ねてきたものが周囲に影響を与えていると考えれば、それは誇らしいことでもあります。受け入れるべきことは受け入れ、無視すべきことは無視して、自分の成長に繋げていきたいです。
Q:年末の連敗から三河戦(リーグ戦)を経て状態が上がってきたように見えましたが、この2試合は難しい戦いとなりました。チームの「波」はどこから来ていると感じますか?
岸本: 後から振り返ると感じることですが「あそこが分岐点だった」と思う箇所はたくさんあります。試合前のマインドセットも含め、何かを変えるべきなのか、今の形を続けていくべきなのかを模索している状態です。ただ、どうあっても前に進むしかないので、結果に左右されすぎず前進したいです。
Q:今日の試合では若い選手たちが追い上げのきっかけを作りました。チームの年長者として彼らの活躍をどう見ていますか?
岸本: 非常に頼もしいですが、本音を言えば「もっとやってほしい」です。僕自身の年齢を考えると、あと何回こうしたタイトルの懸かった舞台にチャレンジできるか分かりません。彼らにとっても、次があるという保証は何もないのです。だからこそ、こうした舞台を自分のものにできるように、ミスを恐れず思い切ってトライしてほしい。その経験は必ず自分の糧になるはずです。
Q:昨年、沖縄で初めて天皇杯の優勝を勝ち取り、県民に大きな喜びをもたらしました。その経験を経て、天皇杯への思いに変化はありましたか?
岸本: 思いが「増幅した」という表現が近いです。優勝して喜んでくれた方々の姿を見て、自分たちが勝ち取った意味の大きさを実感しました。だからこそ2連覇したかったですし、沖縄における天皇杯の価値をさらに広げるチャンスを逃してしまったことが悔やまれます。
Q:今回のファイナルラウンドは「集中開催」という形式でした。この特別なレギュレーションで勝つことへのこだわりはありましたか?
岸本: はい、この形式だからこそ取りたかったという思いはあります。決勝まで行けば心身ともに非常に追い詰められる状況になりますが、その境地で戦える権利を得ることは選手として誇らしいことだと思うからです。非常に難しい状況でしたが、やはり勝ち取りたかったです。

荒川颯
Q:今の率直な心境を教えてください。
荒川: 敗戦という結果を受け止め、これが今のキングスの現在地だと思っています。これから「勝つチーム」になるために、一人ひとりがどこを目指してやっていくのか、プロとして責任を持って取り組んでいかなければならないと感じています。
Q:最後まで走り続け、諦めない姿勢が次につながると感じましたが、試合を通しての戦う姿勢についてはどう考えていますか?
荒川: 最後まで戦い抜くことはプロとして当たり前のことです。これだけ多くのファンが沖縄から駆けつけて応援してくれている中で、勝てなかったことに対して本当に責任を感じています。もっとやっていかなければいけません。
Q:前半の厳しい展開から、第3クォーター(後半)に一気に追い上げを見せました。あの時間帯、チームとしてどのような意識で、どんな声を掛け合ってプレーを修正したのでしょうか。
荒川: 点差が離れていたので、やるべきことは明確でした。あの時間、チームとして「どうすれば流れを掴めるか」という姿勢を一人ひとりが体現できていたと思います。ただ、「本当は最初からやれよ」という話であって、そこ(試合の入り)が今の自分たちの弱さだと思っています。
Q:守備の強度が上がり、そこから得点に繋げて流れを掴みました。連戦が続く中でセカンドユニットが奮起して活躍することは今後も重要になると思いますが、今日の手応えはいかがですか。
荒川: 10点差まで詰め寄った場面での戦い方については、自分でも思うところがありますし、(スタッフ陣からも)指摘されました。例えば、自分が大事な場面で3ポイントを決めて点差を縮めたとしても、「俺がやってやる」という個人の方向性に進んでしまったら、キングスがやろうとしている「チームバスケット」とは違うものになってしまいます。チームとしてどう戦うべきかを絶対に忘れてはいけないと、改めて痛感した試合でした。
Q:脇(真大)選手との連携やリバウンド争いなど、チームの意識が非常に高く見えました。試合終了直後、コート上で選手たちが円陣を組んで集まっていましたが、どのような話をされていたのでしょうか。
荒川: 「この試合を絶対に忘れないようにしよう」という話をしました。自分たちがこれからどのような方向に向かって進んでいくべきなのか、その意思を再確認しました。
Q:荒川選手ご自身も、昨日(準々決勝初戦)に続き今日も勝負どころのクロージングで起用されました。悔しさもあると思いますが、ご自身の手応えについてはどう感じていますか?
荒川: シュートは「水物」です。入らない時にいかに点差を離されないようにするかという部分に、今の自分たちの甘さが出ています。3ポイントの確率が低い試合であっても、「その中でどうやって勝つか」という細かい部分を一人ひとりが徹底できるかどうか。それが「勝つチーム」になるための土台として最も大事なことだと思っています。
Q:この敗戦の悔しさは、今後のレギュラーシーズンや東アジアスーパーリーグ(EASL)に繋がっていくでしょうか。
荒川: はい、繋げなければいけないと思っています

脇真大
Q:相手のシュートが高確率で決まり、非常に難しい展開の試合でしたが、試合全体を振り返ってどのように評価していますか?
脇: 大事な局面で「やられたな」というのが率直な感想です。また、自分自身についても、本来決めきらなければならないシュートを決められなかったことがチームに迷惑をかけてしまったと感じており、反省しています。
Q:第3クォーター、脇選手を含むセカンドユニット(控えメンバー)が登場した際に流れを変える場面がありました。あの時間帯、チームとしてどのような意識を持ってプレーしていたのでしょうか。
脇: 点差が20点ほど離れていたので、「どうにかしてやるしかない」という強い気持ちでコートに入りました。追いつくためには早いテンポでバスケットを展開する必要があると考え、そこを意識してプレーしました。この経験を成長の糧にして、レギュラーシーズン、東アジアスーパーリーグ(EASL)、そしてチャンピオンシップという残されたタイトル獲得の機会を絶対に逃さないよう頑張りたいです。
Q:最近の試合と比べると、今日は脇選手らしいアグレッシブなドライブやアタックが多く見られたように感じました。ご自身の感触や手応えはいかがでしたか?
脇: (アタックはできていても)ゴール下のシュートなどを決めきることができなかったので、感触としては全然満足できていません。これからもっともっと練習しなければならない課題がたくさん見つかった試合だったと思います。
Q:今シーズン、ご自身の怪我による離脱や、ヴィック・ロー選手が不在の時期があるなど、チームとしてなかなか足並みが揃わない難しい状況が続いています。それが今の「しっくりこない」大きな要因になっていると感じますか?
脇: それを言い訳にはしたくありませんが、多少なりとも影響はあると思います。ただ、キングスには「やるべきことをやれば勝てる」というカルチャーがあります。最近の負けは、その「やるべきこと」にフォーカスしきれなかった結果です。 ヴィック(・ロー)がいてもいなくても、自分たちが遂行力を持って戦わなければなりません。今日は自分たちの遂行力が足りず、復帰したヴィックにフラストレーションを溜めさせてしまった面もあり、そこは申し訳なく思っています。この負けを絶対に忘れず、インテンシティ(強度)を上げて次に繋げたいです。
Q:プロ2年目となり、相手チームからも徹底的に対策(スカウティング)されている状況だと思います。分かっていてもやりきれないもどかしさがあるのか、それともアジャストはできているのでしょうか。
脇: もどかしさはあります。今はどのチームも僕のドライブを一番に警戒して抑えに来ていると感じます。その中で何ができるかを考えたとき、今日のようにアウトサイドシュートを打ち切って決めることを忘れてはいけません。 相手が(ドライブを警戒して)下がって守るのであれば、ハンドオフなどで仲間を活かすプレーもできるはずです。怪我明けからなかなか上手くいかない時期もありましたが、自分の武器であるドライブと2ポイントシュートを軸にしつつ、相手のアジャストに対して自分もアジャストしていかなければならないと思っています。
Q:今日の後半については、ある意味「自分のやるべきプレー」が体現できたと言えますか?
脇: 一応、後半に関してはできた部分もあったと思っています。ですが、昨シーズンのチャンピオンシップでの自分に比べればまだまだ全然足りないです。あの時の自分を超えていかなければならないと思っているので、もっと頑張ります。
Q:今日決めた3ポイントシュートの場面では、仲間も非常に喜んでおり、追い上げの起爆剤になりました。あのプレーについてはどう感じていますか?
脇: 決まったことは良かったですが、もっと決められるシーンはたくさんあったはずです。チームメイトからもっと信頼され、「脇にパスを出せば決めてくれる」と思ってもらえるように、自信を持って打ち続けて決めていきたいです。
Q:脇選手が3ポイントシュートを武器として確立できれば、チームにとっても非常に大きな強みになるのではないでしょうか。
脇: 本当にその通りだと思います。3ポイントシュートをもう一つの確固たる武器にしたいと考えています。難しいシーズンではありますが、それができるよう努力し続けていきたいです

次戦への展望
琉球ゴールデンキングス: 天皇杯連覇という大きな目標は途絶えた。しかし、Bリーグと東アジアスーパーリーグ(EASL)という2つの重要なタイトル獲得の可能性はまだ残されている。この敗戦は単なる一敗ではない。チームが抱える「試合の入り」「ディフェンスの強度」「ルーズボールへの執着心」といった課題にチーム全体で真摯に向き合い、シーズン後半戦に向けて再起を図ることが求められる。この敗戦が、琉球ゴールデンキングスの「アンダードッグ」精神を目覚めさせるための良薬であったと証明できるかは、これからの彼らの戦いにかかっている。
シーホース三河: ディフェンディングチャンピオンを破った三河は、大きな自信を手に準決勝へと駒を進める。次なる相手は宇都宮ブレックス。10年ぶりの栄冠に向けた彼らの挑戦は、さらに熱を帯びて続いていく。
(取材・写真:照屋勇人、構成・文:湧川太陽)

