1月6日(火)、第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンドが開幕した。連覇に挑む琉球ゴールデンキングスはシード2回戦が初戦となるため、1月6日に那覇空港から東京・代々木に向けて出発した。
#琉球ゴールデンキングス が #天皇杯 連覇へ出発✈️
— アウトナンバー【沖縄バスケOUTNUMBER】 (@OUTNUMBER_oka) January 6, 2026
注目の外国籍選手は3人ともチーム帯同。桶谷大HCは「ヴィック・ローが(天皇杯の)コートに立てる目処がついた」と語り、天皇杯でローが再び暴れてくれる事が期待できますよ‼️
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1月6日には天皇杯ファイナルラウンド1回戦がそれぞれ行われ、1月7日に行われるキングスの2回戦の相手には、B2 横浜エクセレンスが日本経済大学を下して勝ち上がってきた。
参考:ファイナルラウンド組み合わせ | 第101回天皇杯・第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会
横浜EXは、昨季B3を優勝して今季からB2に昇格。第16節終了時点でB2東地区3位ながら、現在レギュラーシーズン12連勝中と非常に勢いのあるチームだ。キングス小野寺祥太キャプテンも「12連勝中の横浜EXにハッスルされないように、僕らキングスの攻撃的なディフェンスやフィジカルの部分で戦っていきたい」と警戒感を口にした。
キングスのファンにとっても、横浜EXはキングス平良彰吾の元所属先としても馴染みのあるチームだが、公式戦でキングスと横浜EXは初対決となる。天皇杯という一発勝負のトーナメント戦では、初戦の戦い方が非常に重要になる。キングスの初戦の相手となる”EX GREEN” 横浜エクセレンスがどのようなチームであるかを、データを基に分析し、紹介していく。

横浜エクセレンスの戦術分析:勝利と敗戦のパターン
勝利の方程式
横浜エクセレンスが勝利を収めた試合には明確な共通点が見られ、12連勝中は以下が勝利の鍵となっていることがわかる。
高い得点効率: 勝利した試合では、オフェンシブレーティング(OFFRTG)が非常に高い数値を記録する。12月21日の山形ワイヴァンズ戦では124.8、12月28日の福井ブローウィンズ戦では127.2と、12連勝中の11試合でOFFRTGが100を超える非常に高い攻撃効率を維持している。これを支えるのが実質フィールドゴール率(EFG)であり、12連勝中は多くの試合でEFG50%を超える高いシュート効率を維持している。
バランスの取れた攻撃: 3ポイントシュートとペイント内得点のバランスが勝利に貢献している。12月28日の福井戦では3ポイント試投数が37本とアウトサイドを多投しつつ、ペイント内得点が38点とインサイドを効果的に突いており、相手のディフェンスに応じた柔軟な攻撃パターンを持つことが強みである。
リバウンドの支配: 攻守の要となるのがリバウンドだ。12月12日のバンビシャス奈良戦では合計54リバウンド(うちオフェンスリバウンド22)を記録している。ディフェンスの強度を保ち、リバウンドを制することが、彼らの勝利には不可欠である。

敗戦の要因
一方で、敗戦した試合ではいくつかの弱点が露呈する。79-82で敗れた11月8日の愛媛オレンジバイキングス戦のデータを基に、横浜EXが苦戦するパターンを分析する。
ターンオーバーの増加: 敗戦時にはターンオーバー(TO)からリズムを崩す傾向がある。愛媛戦ではチーム全体で13個のターンオーバーを記録した。アシストとターンオーバーの比率(AST/TO)は1.85であり、接戦で敗れた試合においてこの数字は、ミスに対して質の高いシュートチャンスを十分に創出できていない非効率なオフェンスを浮き彫りにする。無駄なポゼッションの一つ一つが勝敗を分ける状況で、アシスト2回につき1回以上のターンオーバーを犯すという比率は、安定した勝利を目指すチームにとってはあまりに薄いマージンである。
シュートの不振: 勝利時とは対照的に、敗戦時はシュート効率が著しく低下する。愛媛戦での有効フィールドゴール率(EFG)は45.3%にとどまり、フリースロー成功率も66.7%(18本中12本成功)と、得点を伸ばしきれていない。安定したシュート力が、彼らの課題の一つと言えるだろう。
ファウルトラブル: アグレッシブなディフェンスが裏目に出て、ファウル数がかさむ傾向がある。愛媛戦では22個のチームファウルを犯しており、相手に多くのフリースローの機会を与えてしまった。特にインサイドの選手がファウルトラブルに陥ると、ディフェンスの強度が著しく低下する危険性をはらんでいる。

警戒すべきキープレーヤー
横浜EXの最も警戒すべきキープレーヤーは#1 トレイ・ボイド “だった”。ボイドは横浜EXの絶対的エーススコアラーであり、12連勝中は平均28.9得点と爆発的な得点力でチームを牽引していた。しかし、今大会の天皇杯レギュレーション「大会を通じて外国籍選手エントリーは2名まで(入替不可)」という制限があり、横浜EXは天皇杯の外国籍エントリーを#21 エライジャ・ウィリアムスと#34 ベンジャミン・ローソンというインサイドプレーヤー2名の選択をした。よって横浜EXは絶対的エースのトレイ・ボイドを欠いた状態で天皇杯を戦うことになった。
参考:大会概要 | 第101回天皇杯・第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会

#93 上良 潤起 (Junki Uera)
日本人選手の筆頭として、重要な得点源となっているのが#93 上良 潤起だ。スターターとして常に長い時間コートに立ち、特にアウトサイドからのシュートでチームに貢献する。上良は沖縄県糸満市出身で、沖縄県立小禄高等学校時代には池田祐一(現 B1越谷)らと共に2014年インターハイベスト8に進出した経歴を持つ”ウチナーンチュBリーガー”だ。
アウトサイドシューター: 彼の最大の武器は3ポイントシュートである。12月13日の奈良戦では5本中3本を成功させて14得点を記録するなど、キングスディフェンスが最も警戒すべきアウトサイドの脅威と言える。彼をフリーにしてしまうと、大量失点につながる危険性が高い。

重要なプレータイム: 今季ほとんどの試合でスターターとして出場して、チーム日本人選手2位の平均約19分の出場時間を記録。試合を通して安定したプレータイムを得ており、コーチ陣からの信頼の厚さがうかがえる。自身の特徴であるアウトサイドシュートだけでなく、ゲームメイクの部分やチームに安定感をもたらす役割も期待されており、試合終盤の勝負どころでもコートに立っている可能性が高い選手である。

#21 エライジャ・ウィリアムス (Elyjah Williams)
インサイドの要として、リバウンドとディフェンスで絶大な存在感を放つのが#21 エライジャ・ウィリアムスだ。ほぼ全ての試合で長いプレータイムを記録し、特に12月21日の山形戦では13リバウンドを記録するなど、ゴール下の支配者として君臨している。
リバウンドの支配: オフェンスリバウンドとディフェンスリバウンドの両方で高い貢献を見せる。彼がオフェンスリバウンドを確保することで生まれるセカンドチャンスポイントや、ディフェンスリバウンドからの速攻は、チームの重要な得点源となっている。
インサイドでの得点力: リバウンドだけでなく、インサイドでの得点能力も高い。12月28日福井戦では2ポイントシュートを13本中11本成功させるなど、ペイントエリアで確実に得点を重ねることができる安定したスコアラーである。
キングス勝利への鍵
リバウンド争いを制圧せよ: 横浜EXはセカンドチャンスからの得点を生命線の一つとしている。特に#21 エライジャ・ウィリアムスを筆頭とするインサイド陣に対して、キングスのビッグマンがフィジカルに戦い、ディフェンスリバウンドを確実に確保することが求められる。
相手のファウルを誘い、インサイドを攻略せよ:横浜EXはディフェンスがアグレッシブな反面、ファウルが多い。キングスは積極的にペイントアタックを仕掛け、相手のキープレーヤーからファウルを誘発したい。これにより、相手のインサイドの強度を削ぎ、フリースローで着実に加点することが可能となる。
“ウチナーンチュBリーガー” 上良 潤起の沖縄への思い
上良 潤起は沖縄県立小禄高等学校を卒業後、九州産業大学に進学。2020年に当時B2 香川ファイブアローズに入団。2024-25シーズンにはB2 鹿児島レブナイズでクラブ初のB2プレーオフ進出に大きく貢献した。そして今季2025-26シーズンに横浜EXへ移籍して、重要な日本人選手として活躍している。

OUTNUMBERは11月29日の横浜エクセレンス vs 神戸ストークス戦を取材して、上良に直接インタビューを行った。この試合は横浜EX12連勝の起点となる白星であり、B2西地区首位を独走する神戸へシーズン2敗目をつけた印象的な試合だった。この試合でも上良は約15分間の出場でチームの勝利に貢献した。
高校卒業後はずっと沖縄県外でプレーし続けて、自分自身の価値を証明し続けてきた上良。沖縄県外でプレーする意義について「沖縄は非常にバスケットボールが盛んで、僕自身18歳まで沖縄県内でバスケをプレーしていました。僕のように琉球ゴールデンキングス以外の県外チームで活躍するプレーヤーも多くいますが、僕も沖縄に帰った時は『応援しているよ』と声をかけて下さる方々が多くいます。どこでプレーしていようとも『沖縄のバスケ愛』を強く感じています」と話してくれた。
「琉球ゴールデンキングスというBリーグトップのチームが沖縄県を盛り上げてくれていますが、僕や(池田)祐一のような沖縄県外でプレーする選手も応援して頂けたらありがたいです。Bリーグがさらに盛り上がっていく現状の中で『沖縄県出身の選手は熱い』と表現していくことは大事だと思っていますし、それを体現できるようプレーしていきます」
沖縄への思いを胸に秘める”ウチナーンチュBリーガー” 上良 潤起が、琉球ゴールデンキングス相手にどんなプレーを見せてくれるのか。キングスを応援しつつ、”ウチナーンチュBリーガー”の活躍にも期待したい。
(写真・取材:佐藤智彦、文・構成:湧川太陽)


