天皇杯にB1チームが登場
2020年12月16日(水)第96回天皇杯全日本バスケットボール選手権の2次ラウンド(3回戦)、サンロッカーズ渋谷対東京エクセレンスが墨田区総合体育館(東京都墨田区)にて行われた。
3回戦から登場の前回優勝のサンロッカーズ渋谷(以下、渋谷)と、前回の2回戦で日立金属ブルドッグスを接戦で下した東京エクセレンス(以下、東京EX)の一戦。
渋谷はBリーグでバイウィークを経て、横浜、新潟、北海道、A東京と連戦(5勝1敗)開けで、ここ2週間で7試合という日程。
一方東京EXはB3リーグの開幕を年明けに控え、プレシーズンゲームなどを行っているリーグ前の調整段階。B1のチームにどう相対していくのかが見どころとなる。
前回王者として
試合前に前回優勝の渋谷からトロフィーの返還が行われた。このセレモニーで#9ベンドラメは「みなさんの前で活躍を見せたい」と挨拶。
「天皇杯独特の雰囲気と、硬さ」(渋谷#23野口)
1Qは渋谷#9ベンドラメの3Pから幕を開けた。
東京EXは身長225cmの#75デグアラが残6:50で立て続けにファールし、ベンチに下がる。渋谷は得たファールでのFTを決め、一時10点差をつける。
渋谷は外から攻めるが外れるシュートも多い。一方、東京EXの#32クレイグが4ディフェンスリバウンドを取り、#41小倉が6点、#32クレイグが7点と差を広げられないように付いていき、24-19でクォーターを終える。
2Q、開始早々渋谷#32山内がスティールを決める。
このプレーでボールを取られた東京EX#51田口は次のプレーで3Pを決め、やりかえした。#51田口は試合を通して終始相手に食らいついていく姿が見えた。
残り1分あたりで、渋谷#1関野と見せた激しいマッチアップがその最たる例だった。
#51田口については、会見で東京EX石田HCが「B1のガード陣と相対することで多くのことを盗めたと思う」#33宮田が「B1の選手とやってフィジカルに慣れていけばできる」と語った。
渋谷はまだ外からのシュートが多く、これについては野口が会見で「打てるシチュエーションになることが多く、中に入れずに、打ってしまった」と話した。
東京EXは引き続き#41小倉攻めてはファールで得たFTを決め、守備ではリバウンドを取る活躍を見せる。
東京EXはエナジーのあふれるプレーで差を詰め、46-40(22-21)として前半終了。
追い上げる挑戦者、王者の意地
3Q。クォーター始まってからの渋谷の4プレーが、全て東京EX#75デグアラに阻まれ(3連続ブロックショット、1ディフェンスリバウンド)、その高さが改めてアピールされた。
シュートが入らない渋谷、#32宮田のアシストで加点する東京EXという流れで、残7:09で48-45とその差を3点にまで縮めた。
その後、渋谷#73田渡が3Pを決めてからは8点のランで、再度10点差まで点差は広がってしまうが、東京EXも#32クレイグを中心に再度追い上げ、残1:39の#22樋口の得点で再度3点差。
渋谷はその少し前の残り2:25で#14マカドゥをコートに入れ、この試合で初めて、外国籍選手がOn2の状態になっていた。
これを受け東京EXもターンオーバーやファールが多くなり、64-57(18-17)と少し点差を広げられてクォーター終了。
4Q。クォーターが始まっても互いにシュートが入らない状態で7~10点差の間で行き来する。
残5:56東京EXのタイムアウト開けから、渋谷がゾーンに切り替える。記者会見で渋谷伊佐HCは「外国籍のOn2とゾーンは出したくなかった」と語っており、一発勝負のトーナメントであり「負けられない」という中でのゾーン移行だった。
東京EXも3Q後半からペースダウンしていき、ターンオーバーやファールが多くなる一方、渋谷は彼らのいつものペースを取り戻して行き、#10ジャクソンのアリウープなどで点差を広げていく。残2:25でこの日最大の22点差となる。
東京EXは追いかけるものの、#41小倉がチームハイの17点を入れたところでタイムアップ。87-70(23-13)で渋谷が勝利した。
個人スタッツはスコアリーダーが渋谷は#10ジャクソン(18点)、東京EXは#41小倉(17点)。
渋谷は過密日程でのプレータイムを考慮し、この日は#34ケリーを休ませた。戦前から渋谷が大差での勝利すると思った人も多かったはず。それでも東京EXは彼らの持ち味であるガッツのあるプレーでB1の、しかも昨年度覇者に対して、果敢に挑んでいった。
「僕としては悔しい試合」(渋谷伊佐HC)
以下、試合後の会見でのコメント
東京EX石田HC「(自分が現役の時に)一番成長できたのは自分より上の選手とプレイできるタイミングだったと思う。どの選手にとっても今日は貴重な時間になったと思う。」
渋谷伊佐HC「最後までマンツーで通したかったが、負けるわけには行かなかったのでゾーンにした。僕としては悔しい試合、最低限勝てたので良かったと思う」
天皇杯という特別な大会を経て
天皇杯ということで、会見で各選手が天皇杯についての質問に対し、一様にとても大切な大会であるということを言っていた。
中でも東京EX#33宮田が語った内容が印象に残ったので、少し長いが紹介する。
(今日の試合について)
今日の試合を忘れずに、今シーズンだけではなく、若い選手にとっては今日の試合はキャリアの中でも大事な試合だったと思う。自分たちが数年後にあそこにいるぞ、というのをイメージして、それを練習でやっていくのが明日からの明確な目的。
(天皇杯について)
自分のモチベーションはずっと天皇杯であり、毎年、正月バスケをするということを目標に仕事と練習を仲間たちと頑張ってきた。こうやってトップリーグの選手とやれるというのは自身の刺激になる。
(若いメンバーに対して)
チームとしては若いチームなので、例えば練習試合などで上のカテゴリあたっても、なかなかガチンコにはならない。(今日の渋谷の後半のように)いろいろな駆け引きをして、最後本気で勝ちに行くということを感じられるのは、若手にとっては貴重な機会だし、いい経験になったはず、今日のことは忘れないでほしい。
「連覇は挑戦しがいのある使命」(渋谷伊佐HC)
勝った渋谷は準々決勝へと駒を進め。年明けの1/13にアルバルク東京と対戦する。
SR渋谷伊佐HCは天皇杯について「2連覇というものは難しく、チャレンジしがいのあるミッション」といい、次の対戦相手A東京に対しては「(12/13に100点ゲームで敗れている事に触れ)もう一回自分たちのチームディフェンスを強固なものにし、リベンジしたい」と述べた。