2026年2月、東京で開催された女子バスケットボール Wリーグの試合会場にて、特別な再会が実現しました。東京羽田ヴィッキーズに所属する本橋菜子選手が、自身の社会貢献活動「NAKOプロジェクト」の一環として、ANAの全面サポートのもと、かつてバスケットボールクリニックで指導した沖縄のミニバスチームの子供たちを試合に招待したのです。
沖縄から、本橋選手の待つ東京へ。本橋選手と子供たちの交流の様子をレポートします。
もう一度、本橋選手と会える日
今回「NAKOプロジェクト」で東京へ向かったのは、沖縄市立コザ小学校6年生の屋冨祖 奈々(やふそ なな)さん、山川 和海(やまかわ なみ)さん、沖縄市立宮里小学校6年生の金城 希乃(きんじょう のの)さん。3人ともコザ小学校ミニバスケットボール部のチームメイトで、昨年の6月に沖縄で行われた本橋選手バスケットボールクリニックに参加しました。
東京2020オリンピック銀メダリストである本橋選手に直接バスケを教えてもらったことは、彼女たちの大きな思い出となっていました。「沖縄では、なかなか女子のプロ選手に直接会う機会は少ないので、目の前でバスケを教えてもらって、銀メダルに直接触らせてもらえたのが嬉しかったです。本橋選手が努力して勝ち取ったメダルなんだと感じました」と当時の喜びを教えてくれました。
今回は本橋選手が実際にプレーする姿を見る機会です。本橋選手と同じポイントガードを目指しているという奈々さんは「オフェンスのドリブルをどんな風に突いているのか盗みたいです!」と元気に話してくれました。3人とも緊張する様子もなく、笑顔で那覇空港を出発しました。でも、大人たちは「そんなに薄着で大丈夫かな…」とちょっと心配(笑)

ANAが用意した空の旅で、暖かい沖縄から東京へ。この日の東京は寒波が到来して、午後から粉雪が散らつく凍えるような寒さ。しかし子供たちは雪を見て大はしゃぎ。6年生の彼女たちにとっては、ちょっとした卒業旅行気分のよう。雪でテンションUPのまま、試合会場である大田区総合体育館に到着しました。



緊張と感動の「ナイスパス」
試合前、彼女たち3人にちょっとした大役が任されました。試合開始セレモニーとして、コート上で3人がパスを繋ぎ、最後に本橋選手がシュートを決めることになりました。終始リラックスムードだった3人も、大勢が見守るコート上に出る時はさすがに緊張の様子。
でも笑顔で待つ本橋選手を見て、少し緊張もほぐれたのか、3人は堂々とコートイン。それぞれのポジションにつくと、希乃さん、和海さん、奈々さんと3人がしっかりパスを繋ぎ、それを受けた本橋選手が見事シュートを決めました。3人と本橋選手は6月のバスケクリニックの時と同じく、笑顔でハイタッチを交わしました。
試合後の対面シーンでは、子供たちが「緊張して、コートに出るまで震えていました」とはにかみながら語ると、本橋選手は「あんな大勢の前で、なかなかないもんね。でもナイスパスでした。みんなの思いを持って戦ってきました」と優しく労いました。









「笑顔を忘れない」子供たちが本橋選手とヴィッキーズの姿から学んだ大事なこと
そしていよいよ試合が始まりました。この日の試合は、本橋選手が所属する東京羽田ヴィッキーズ 対 シャンソン化粧品。試合序盤はアウェーのシャンソン化粧品がリードを奪うも、ホームのヴィッキーズもファンの声援を受けて反撃を開始。点差を離されても諦める姿勢は全く見せず、チーム全員が一丸となってディフェンスを頑張り、じわりじわりと点差を詰めていきます。
子供たちの印象に残ったのは、ヴィッキーズのチーム一丸となった姿勢でした。「ヴィッキーズは全員で声を出して、笑顔で励まし合っていました。それを見ていて『いいチームだな』と感じました」
試合は後半もヴィッキーズが追いかける展開。ヴィッキーズの3ポイントが入ると3人も大盛り上がり。残念ながらヴィッキーズは敗れてしまいましたが、子供たちは生で見るWリーグの試合を楽しみながら、時には真剣な顔でコートの選手の躍動に見入っていました。



「ドリブルは強く」教えを守り成長した姿
試合後、子供たちが本橋選手に直接対面して、感謝を伝えました。
6月に沖縄で行われたクリニックの際、本橋選手が伝えたアドバイスは子供たちの心に深く刻まれていました。「ドリブルは強く突く」という教えをしっかり実践してきたことを伝えて「うまくできるようになりました」と成長を報告。本橋選手は「自分の手元に持てる時間が長くなれば、相手に取られにくくなるから」と、改めてその技術的な意味を丁寧に解説し、自主練を続けるようエールを送りました。

勝ち負け以上に大切な「チームの団結力」
子供たちとの交流の中で、本橋選手はこの招待に込めた深い想いを語りました。
「勝ち負けではなく、どんな状況でもチームとして戦う姿を見て、明日も頑張ろうと思ってもらえたらと一生懸命やりました」
このメッセージは確実に届いており、試合を観戦した3人は「チームの団結力や、みんなで一緒に戦う姿が心に残った」と語りました。本橋選手は「バスケットは一人じゃできない。一人じゃ勝てないけど、みんながいればなんとかなる。それは社会に出てからも大事になること」と、スポーツを通じて学べる成長への糧を伝えました。

笑顔の「シーサーポーズ」で締めくくり
最後は、沖縄から来た子供たちが持参した、ハイビスカス柄の入ったユニフォーム姿で記念撮影。本橋選手も一緒に、沖縄らしい「シーサーポーズ」で笑顔を見せ、和やかな雰囲気のまま交流は幕を閉じました。

現役選手だからこそ伝えられるもの
本橋選手はインタビューで、「現役としてプレーしているからこそ、教えるだけじゃ伝わらないものがある。それを実際に見せられたのは貴重な経験だった」と振り返りました。
「私自身、本当にたくさんの方々に支えて応援して頂いたおかげでバスケットを続けることができたので、それを『NAKOプロジェクト』を通じて子供たちに還元できるものがあれば、ということで始めた活動でした」
「選手として活動しているからこそ、まだ現役としてプレーしているからこそ、教えるだけじゃ伝わらないものを、実際にクリニックで教えた子供たちに、見せることができました。本当に貴重な経験をさせて頂きました」
「これから子供たちがバスケットを続けていく中で、上手くいくこと、そうではないことも沢山あると思うんですけれど、私がコートでプレーする姿を見て、子供たちが頑張るエネルギーや『本橋選手も頑張ってるから自分たちも頑張ろう』と思ってもらえるような表現、パフォーマンスをできたらいいなと常に考えています」
「私が所属するANAエアポートサービス株式会社のスポンサー試合でもあり、今日沖縄の子供たちが観に来てくれることを楽しみにしていて、私がプレーで頑張れる活力になりました」
「今回、沖縄から東京という遠く離れた場所で、沖縄で出会った子供たちと再会し、自分の試合を観てもらえたのは、私にとって幸せな時間でした」

全日本空輸株式会社 久沢 弘太郎 東京空港支店副支店長は、今回の「ANA×NAKOプロジェクト」に込めた思いをこのように語りました。
「沖縄でのクリニックで目を輝かせていた子供たちに、本橋選手の戦う姿を現地で見せてあげたい。そんな想いから今回の東京招待をサポートさせていただきました。スポーツを通じて夢に向かって羽ばたく子供たちを、ANAはこれからも応援してまいります。」
ANAの翼が繋いだ、沖縄と東京という距離を超えたこの再会は、子供たちにとって一生の宝物になると同時に、本橋選手自身にとっても次なる戦いへの大きな活力となったようです。雪の降り積もる東京で、子供たち3人の笑顔溢れる、思い出深い一夜になりました。

(写真:佐藤智彦、写真・文:湧川太陽)

