12月21日(日)、富山グラウジーズ vs 琉球ゴールデンキングス GAME2が黒部市総合体育センター(富山県黒部市)で行われ、78-81でキングスが辛くも勝利した。
前日GAME1に90-80で敗れていたキングスにとって、この一戦は是が非でも勝利が必要な雪辱戦であった。最終スコアが示す通り、試合は最終盤までもつれる激闘となったが、キングスが土壇場で踏みとどまり、貴重な1勝をもぎ取った。
タフな連戦の疲労が見える中、キングスは#45 ジャック・クーリーのオフェンスリバウンドにおける圧倒的な支配力を武器に、#8 トレイ・ケルを欠きながらも粘り強く戦う富山を振り切った。

第1クォーター:激しい点の取り合いでキングスが僅差のリード (富山 23 – 25 キングス)
試合は開始直後、富山が#12 ブロック・モータムのフローターで先制すれば、キングスもすぐさま#15 松脇圭志の3ポイントシュートで応戦するなど、序盤から激しい点の取り合いとなる。クォーター終盤、キングスの#21 デイミアン・ドットソンがコートイン直後に3ポイントを沈めチームに勢いをもたらすも富山も粘りを見せ、最終的に25-23とキングスがわずか2点のリードで最初の10分を終えた。
TOYAMA GROUSES vs RYUKYU GOLDEN KINGS [2025.12.21]
— OUTNUMBER – okinawa basketball Magazine (@OUTNUMBER_EN) December 21, 2025
Ryukyu's Yoshiyuki Matsuwaki makes a three-point shot.pic.twitter.com/7JAPIYndM8
第2クォーター:キングスがリードを広げるも、富山も食い下がる (富山 17 – 24 キングス)
キングスがリードを拡大したこのクォーター、富山はキングスのスコアラー#21 ドットソンに対し、ボックスワンディフェンスを仕掛けるという戦術的な動きを見せた。しかし、#45 クーリーと#53 アレックス・カークのツインタワーが富山のインサイドを蹂躙して、アウトサイドの不振を補って余りある支配力を見せつけた。さらに、若手の#47 平良彰吾が#24 ヤニス・モランをブロックし、#17 崎濱秀斗が#11 宇都直輝からスティールを奪うなど、ディフェンスでも流れを渡さない。クォーター終了間際には、富山の#24 モランがブザービーターとなる3ポイントをねじ込み、最後まで食い下がる姿勢を見せたが、前半は49-40とキングスが9点のリードを奪ってハーフタイムを迎えた。
TOYAMA GROUSES vs RYUKYU GOLDEN KINGS [2025.12.21]
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Ryukyu's Shogo Taira makes a block shot.pic.twitter.com/Z48K72hIZU
TOYAMA GROUSES vs RYUKYU GOLDEN KINGS [2025.12.21]
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Ryukyu's Shuto Sakihama scores from a steal.pic.twitter.com/Rk6kgAUU0v
第3クォーター:富山の猛追で試合は再び接戦へ (富山 21 – 17 キングス)
後半に入ると、富山が息を吹き返す。9-0のランを見せるなど猛追し、一時は59-55の4点差まで詰め寄り、試合は再び予断を許さない展開となった。この苦しい時間帯、キングスはキャプテン#14 岸本隆一がオフェンスを牽引。鋭いドライブで富山のディフェンスを切り裂き、アシストを連発して攻撃のリズムを立て直した。富山はこのクォーターを21-17と上回り、トータルスコア66-61の5点差で最終クォーターに逆転の望みをつないだ。
TOYAMA GROUSES vs RYUKYU GOLDEN KINGS [2025.12.21]
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Ryukyu's Shota Onodera scores a three-point shot with an assist from Ryuichi Kishimoto.pic.twitter.com/sFUVhs52jB
第4クォーター:最後までもつれた激闘、キングスが逃げ切る
勝負の最終クォーターは、まさに死闘と呼ぶにふさわしい展開となった。キングスは#8 佐土原遼が勝負どころで2本の3ポイントを沈めてリードを保つが、富山も#12 モータムと#24 モランの両外国籍選手を中心に得点を重ね、一歩も引かない。残り9.4秒、キングスのショットクロックバイオレーションで富山に最後の望みが託された。しかし、#12 モータムが放った同点3ポイントはリングに弾かれ、試合終了のブザーが鳴り響いた。チーム一丸となって苦しい時間を耐え抜き、キングスが薄氷の勝利を手にした。
試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/12/21 富山 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト



主要選手のパフォーマンス
琉球ゴールデンキングス
#45 ジャック・クーリー: まさにこの試合のMVPと言える支配的なパフォーマンスを披露した。25得点、20リバウンドという驚異的なスタッツを残し、特に11本に及んだオフェンスリバウンドは、決定打を欠くチームにとって不可欠な存在であった。キングスのシュートがリングに嫌われ続ける中、クーリーがオフェンスを繋ぎ続けた。
#14 岸本隆一: 得点こそ2点に留まったが、ゲームの流れをコントロールする司令塔として6アシストを記録。特に後半に見せたペイントアタックからのキックアウトは、富山のディフェンスを効果的に崩し、チームオフェンスを活性化させる重要な戦術的貢献であった。
富山グラウジーズ
#24 ヤニス・モラン & #12 ブロック・モータム: この2選手は、まさに富山の攻撃を牽引したツインエンジンであった。モランがチームハイの23得点を挙げれば、モータムも22得点、10リバウンドのダブルダブルを記録。彼らの高い得点力が、試合を最後まで接戦に持ち込む最大の原動力となった。
#3 岡田雄三: 4試合連続の2桁得点となる10得点を記録。前日の試合で12アシストを記録した彼に対し、キングスは厳しいディフェンスで対応しアシストは4に抑えたものの、積極的なアタックでチームのオフェンスに貢献した。
勝敗を分けたキーファクター
圧倒的なオフェンスリバウンドの差
キングス勝利の最大の要因は、セカンドチャンスポイントにおける圧倒的な差であった。データを比較すると、キングスの28点に対し、富山はわずか8点。この20点差は、#45 ジャック・クーリーの驚異的な働きを筆頭に、チーム全体でリバウンドへの執着心を見せた結果である。チームの3ポイント成功率が17.5%と低迷する中、キングスらしい勝利への方程式だった。
富山の粘り強い戦術と選手の奮闘
富山のパフォーマンスも高く評価されるべきである。主力スコアラーの#8 トレイ・ケルを欠く中で、チームは戦術的な工夫と高い遂行力を見せた。#21 ドットソンへの「ボックス・ワン」ディフェンスで相手のエースを警戒し、ガード陣による積極的なペイントアタックで得点機会を創出。これらの戦術が機能し、戦力で上回るキングスを最後まで苦しめたことは、今後のシーズンに向けた大きな収穫と言えるだろう。
ファウルドローンの攻防
試合全体の流れを左右したもう一つの要因は、フリースローの攻防である。前半、キングスは積極的なアタックでファウルを誘い、前半だけで22本ものフリースローを獲得。最終的にはフリースロー29本中24本成功(82.8%)と、これがリードの基盤となった。


ヘッドコーチ・選手インタビュー要約
琉球ゴールデンキングス
桶谷大ヘッドコーチ
「水曜日にゲーム(EASL)があった中、さらにヴィック・ロー選手もいない、ドットソン選手も合流したばかりという状況で、『最低限どうやって勝つか』というところを追求しました」
「昨日に関しては、内容も良くありませんでした。もちろん富山さんが素晴らしいバスケットをしたということもありますが、それ以上に自分たちが本来やるべき『規律のあるバスケット』ができていなかったことが問題でした」
「そこからゲームプランを大きく変えることなく、どうやって勝つかを考えた際、まず『アウトハッスル(気迫で負けること)されないこと』を大前提に掲げました。今日に関しては、その部分をみんなが頑張ってくれたと思います」
「昨日はリバウンドで負けていたので、今日はそこで圧倒することを目指しました。昨日の失点を分析すると、ターンオーバーからの失点が約19〜20点、セカンドチャンスポイントも約20点、ファストブレイクポイントが27点と、合計47点近くを『本来取られてはいけない点数』として失っていました。ハーフコート(の守備)で何かをやられたというわけではなかったので、今日はそこをチームとしてしっかりと修正して臨みました。最後、クロージングゲーム(終盤の攻防)は難しい展開になりましたが、それでも勝ち切れたことは良かったと思います」

次戦への展望
琉球ゴールデンキングス
キングスの次戦は、水曜日にホームの沖縄サントリーアリーナで迎える川崎ブレイブサンダース戦だ。この勝利で悪い流れを断ち切り、弾みをつけたいところだが、過密日程は依然として続く。コンディションの維持が最大の課題となる中、クリスマスから年始までの連戦を全てホームで戦うスケジュールは僅かながらの好材料だ。1月の天皇杯を見据える上でも、年末年始をホームで連勝を続けたい。
富山グラウジーズ
富山は、次戦クリスマスイブにホームで三遠ネオフェニックスを迎える。強豪・キングスを相手に一勝一敗と互角に渡り合ったことは、チームに大きな自信を与えたはずだ。この経験を力に変え、ホームのファンの前でシーズン初となる連勝という最高のクリスマスプレゼントを届けられるか。チームの成長が試される重要な一戦となる。
(写真提供:琉球ゴールデンキングス、構成・文:湧川太陽)

