キングス、富山に惜敗 1679日ぶりの黒星喫す[2025.12.20]

12月20日(土)、富山グラウジーズ vs 琉球ゴールデンキングスGAME1が黒部市総合体育センターで行われ、90-80でホーム富山が勝利。キングスが富山に敗れたのは、2021年のチャンピオンシップ クォーターファイナルGAME2以来で1679日ぶりだった。

キングスは攻守の要である#4 ヴィック・ローをコンディション不良で欠き、水曜日の東アジアスーパーリーグ(EASL)から中2日という厳しいスケジュール。富山はリバウンドやルーズボールへの執念で上回り、若手と外国籍選手の躍動が噛み合ったことで、実に4年半ぶりとなる勝利を掴み取った。

目次

第1クォーター: 富山のインサイドとディフェンスが機能 (富山 23-19 キングス)

試合序盤、富山のディフェンスがゲームのトーンをセットした。特に#24 ヤニス・モランが開始早々から2つのブロックショットを記録し、キングスのインサイドへの侵入を阻んだ。一方のキングスは、インサイドの要である#45 ジャック・クーリーが開始わずか4分あまりで2つのファウルをコールされるファウルトラブルに陥り、攻守両面で苦しい立ち上がりとなった。富山はこの隙を突き、インサイドでの優位性を確立し、リードを奪った。

第2クォーター: キングスの反撃と富山のセカンドチャンスポイント (富山 20-17 キングス)

第2クォーターに入ると、キングスが反撃に転じる。#21 デイミアン・ドットソンの個人技や、#10 荒川 颯の3ポイントシュートなどで一時は逆転に成功。しかし、富山はここで崩れなかった。キングスの猛追に対し、富山はオフェンスリバウンドから粘り強く得点を重ねることで対抗。このクォーターも富山はセカンドチャンスポイントでキングスを上回り、さらに前半終了時点でペイント内得点が富山24点、キングス12点と富山はインサイドでも奮闘。富山 43 – 36 キングスと富山が7点リードで試合を折り返した。

第3クォーター: 岸本 隆一の爆発と激しい応酬 (富山 15-19 キングス)

後半に入り、試合はさらに激しさを増す。このクォーターの主役はキングス#14 岸本 隆一だった。岸本が立て続けに3本の3ポイントシュートを沈める圧巻のパフォーマンスで、キングスは試合を振り出しに戻し、一時はリードを奪う展開だったが、富山はこの猛追を耐え抜いた。#24 ヤニス・モランや#6 ウィリアムス ニカがインサイドで体を張り、再びリードを奪い返した粘り強さをみせる。富山 58 – 55 キングスと富山がわずか3点のリードを保ち、勝負は最終クォーターへと持ち越された。

第4クォーター: 若手の躍動とビッグマンの奮闘、富山がキングスを突き放す (富山 32-25 琉球)

勝負の最終クォーターは、壮絶な打ち合いで幕を開けた。富山の#17 田中 晴瑛が左右のウィングから連続で3ポイントを決めれば、キングスの#8 佐土原 遼も水曜のEASLから続く好調さを見せつけ2本を沈め返す。この激しい打ち合いを制したのは富山だった。終盤、#6 ウィリアムス ニカがインサイドで確実に得点を重ねると、#24 ヤニス・モランが値千金のスティールを奪い、走っていた#6 ウィリアムス ニカがそれを受けて豪快なダンクを叩き込み、勝負を決定づけた。キングスは連戦の疲労からか、終盤にかけて遂行力が低下した感は否めず、富山がビッグクォーターを作り出して、最終スコアは富山 90 – 80 キングスとホームでの勝利をものにした。

主要選手のパフォーマンス

 琉球ゴールデンキングス

#14 岸本 隆一: 9得点、2アシスト、2リバウンドを記録。特に第3クォーターに3本の3ポイントシュートを集中させ、試合の空気を一変させたプレーは流石。しかし、最終的にチームを勝利に導くことはできず、悔しい結果となった。

#21 デイミアン・ドットソン: チームハイの17得点を記録し、攻撃の核として奮闘。しかし、第4クォーターの勝負所で痛恨のアンスポーツマンライクファウルを犯し、試合の流れを相手に渡してしまった。

#45 ジャック・クーリー: 12得点、11リバウンドでダブルダブルを達成。インサイドで存在感を示したが、第1クォーターでのファウルトラブルが響き、プレータイムが制限されたことがチームの戦略に大きな影響を与えた。

富山グラウジーズ

#6 ウィリアムス ニカ: 19得点、11リバウンドのダブルダブルを記録し。気迫あふれるプレーでチームを鼓舞し、終盤のダンクで試合を決定づけた。

#17 田中 晴瑛: B1でのキャリアハイとなる12得点を記録。第4クォーターでの連続3ポイントシュートはチームに絶大な勢いをもたらした。

#3 岡田 雄三: 11得点、キャリアハイとなる12アシストで自身初のダブルダブルを達成。司令塔として的確なゲームメイクで攻撃陣を操り、歴史的勝利を演出した。

#24 ヤニス・モラン: 15得点に加え、4ブロック、5スティールという驚異的なスタッツを記録。コートの両端で絶大な存在感を発揮してチームの屋台骨を支えた。

勝敗を分けたキーファクター

リバウンドとハッスルプレーの差

富山はオフェンスリバウンドで18本(キングスは15本)ペイント内得点で44点(キングスは24点)とキングスを上回り、試合の流れを大きく左右した。富山のハッスルが、キングスの本来の強みであるインサイドを完全に無力化した。

ヴィック・ロー不在の影響とインサイドの攻防

キングスにとって、絶対的支柱である#4 ヴィック・ローの欠場はあまりにも大きかった。彼の不在はディフェンスとリバウンドの両面に深刻な影響を与え、富山のビッグマンである#6 ニカと#24 モランにインサイドを支配される最大の要因となった。両選手は得点とリバウンドでチームを牽引し、このインサイドでの優位性が富山の大きな勝因となったことは間違いない。

第4クォーターの勝負所での遂行力

勝負所での遂行力の差は、残り2分を切ってからの数秒間に凝縮されていた。#24 モランの鬼気迫るスティールから、ファウルトラブルを耐え抜いた#6 ニカがコートを駆け抜け、勝利を叩き込むダンクを決める。この一連のプレーで完全に試合の行方は決した。対照的にキングスはターンオーバーやファウルが重なり流れを掴みきれず、終盤のゲーム運びの精度が最終的な勝敗を分ける決定的な差となった。

ヘッドコーチ・選手会見の要約

琉球ゴールデンキングス

桶谷大ヘッドコーチ

試合を通して、スマートさに欠ける内容でした。判断が悪く、これまでオフェンスとディフェンスの両面で細部までこだわって積み上げてきたものが、一気に抜けてしまったような試合だった。

リバウンドで負けたこともそうですが、内容として最悪だったのは、ターンオーバーから19点、セカンドチャンスで20点、ファストブレイクで26点を与えてしまったことです。このような数字を許していては、絶対に勝つことはできません。

富山さんの特徴については事前にスカウティングしており、それをやらせないように準備して臨みました。しかし、結果的に相手の特徴が完全に出てしまった試合となりました。非常に集中力を欠いたゲームにしてしまったという風に感じています。

次戦への展望

キングスにとって、次戦(GAME2)は正念場となる。最大の課題は、連戦による疲労からの回復と、#4 ヴィック・ロー不在という現実にどう再適応するかだ。この試合で露呈したリバウンドとインサイドディフェンスの脆さを修正できなければ、連敗の可能性も否定できない。この手痛い敗戦をいかにして糧とするかが問われる。

富山は歴史的勝利で得た自信を、次戦でいかに継続できるかが焦点だ。この試合で見せた高いエネルギーレベルとハッスルを維持し、#17 田中 晴瑛のような若手が安定したパフォーマンスを発揮できれば、連勝も夢ではない。富山にとっては、この一勝は単なる金星ではなく、シーズン後半戦へ向けた浮上のきっかけと出来るか。

(写真提供:琉球ゴールデンキングス、構成:湧川太陽)

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