キングス、バイウィーク明け初戦で広島に先勝して4連勝 [2025.12.06]

12月6日(土)、B1リーグ 広島ドラゴンフライズ vs 琉球ゴールデンキングスがエフピコアリーナふくやま(広島県福山市)で行われ、72-81でキングスが勝利した。キングスはこれでバイウィーク(中断期間)を挟み4連勝となった。

バイウィークが明け、キングスにとっては後半戦の行方を占う重要な一戦であり、新外国籍選手の#21 デイミアン・ドットソンのBリーグデビュー戦となった。

試合は第3クォーターまで互いに一歩も譲らない緊迫したシーソーゲームとなったが、勝負の最終クォーターでキングスが真価を発揮。激しいディフェンスから流れを掴むと、決定的な10連続得点で試合の主導権を握り、キングスは敵地で貴重な先勝を挙げた。

目次

第1クォーター:佐土原の躍動でキングスがリード (19-20)

キングスは試合開始から非常に高いインテンシティのディフェンスを展開し、広島にプレッシャーをかけた。広島は日本代表活動から戻った#24 メイヨ ニックを中心に得点を重ねるが、キングスはベンチから出場した#8 佐土原 遼がオフェンスの起爆剤となる。インサイドでの強さ、そしてアウトサイドからの3ポイントシュートと内外から得点を量産し、1クォーターだけで9得点とチームを牽引した。クォーター終盤に広島#24 メイヨ ニックに3ポイントを許すも、キングスがわずかにリードして最初の10分を終えた。 (スコア:広島 19-20 キングス

第2クォーター:激しい点の取り合いの中、キングスがリードを保つ (20-23)

8 佐土原 遼の勢いは止まらず、#15 松脇 圭志も3ポイントシュートで続き、キングスがリードを広げる。しかし、広島も反撃。#13 ドウェイン・エバンスの個人技や#24 メイヨ ニックの豪快なダンクで反撃し、一進一退の激しい攻防が繰り広げられた。クォーター終了間際、キングスは#4 ヴィック・ローがトップの位置から貴重な3ポイントを沈める。この1本がチームに勢いを与え、リードを保ったままハーフタイムを迎えた。 (スコア:広島 39-43キングス)

第3クォーター:広島の猛追、試合は振り出しに (19-15)

後半、試合は広島のペースで幕を開けた。#88 佐藤 涼成、ドウェイン・エバンスと立て続けの3ポイントが決まり一時広島が逆転。キングスは#14 岸本 隆一のミドルジャンパーですぐさま同点に追いつき、この試合がBリーグデビューとなった新加入の#21 デイミアン・ドットソンが初得点となる3ポイントシュートを決めるなど応戦。クォーター終了のブザーと同時に、広島#8 クリストファー・スミスがタフな3ポイントシュートを決めて同点に。試合は振り出しに戻り最終クォーターへと突入した。(スコア:広島 58-58 キングス)

第4クォーター:勝負を決めたキングスのビッグラン (14-23)

勝敗を分けた最終クォーター。試合が動いたのは中盤だった。#18 脇 真大がボールマンに対して激しいプレッシャーをかけ、ファウルにはなったものの、キングスに勢いを与えた。このプレーがターニングポイントとなり、直後のオフェンスから#15 松脇 圭志が連続で3ポイントシュートを成功させ、さらに#21 デイミアン・ドットソンも得点。キングスは一気に10-0のビッグランを記録し、二桁のリードを奪った。この決定的な時間帯で主導権を握ったキングスは、その後も落ち着いて試合をコントロール。最後までリードを守り切り、重要なアウェーゲームでの先勝を飾った。 (最終スコア:広島 7281 キングス

試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/12/06 広島 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

主要選手のパフォーマンス

琉球ゴールデンキングス

#8 佐土原 遼 :15得点  | 2リバウンド | 3アシスト
前半のゲームチェンジャー。広島のオフェンスがまだ噛み合わない序盤、キングスが遂行するセットプレーから確実に得点を重ね、チームに絶大な勢いをもたらした。最終的にフィールドゴール成功率100%(7本中7本成功)で15得点を記録。インサイド、アウトサイドの両方で得点能力の高さを見せつけた。

#15 松脇 圭志:12得点 (3P 4/8)  | 3リバウンド | 1アシスト
勝負どころで真価を発揮したクラッチシューター。4本の3ポイントシュート成功を含む12得点をマーク。特に第4クォーター、試合の流れを決定づけた10-0のランの口火を切った連続3ポイントは、勝利を大きく引き寄せた。

#21 デイミアン・ドットソン (キングス)10得点 (3P 2/4)  | 1リバウンド | 3アシスト
Bリーグデビュー戦で堅実な貢献を見せた。試合に順応しながら要所で得点を重ね、10得点を記録。得点面だけではなく、ビッグマンへの的確なポケットパスでアシストを記録するなど、元NBAプレーヤーらしい確かな技術も見せる。桶谷ヘッドコーチや#4 ヴィック・ローも試合後に彼の貢献を称賛しており、チームへのフィットに期待が高まる。

#4 ヴィック・ロー (キングス)10得点 | 10リバウンド | 4アシスト
攻守にわたる大黒柱としてチームを牽引。16得点、10リバウンドのダブルダブルを達成した。特に前半終了間際に決めた3ポイントシュートは、広島に傾きかけた流れを断ち切り、チームに精神的な余裕をもたらした重要な一撃だった。

広島ドラゴンフライズ

#24 メイヨ ニック & #13 ドウェイン・エバンス (広島)
広島のオフェンスを牽引した両エース。それぞれ19得点を挙げ、キングスを最後まで苦しめた。彼らの安定したパフォーマンスが、試合を第3クォーターまで接戦に持ち込んだ最大の要因であったことは間違いない。

勝敗を分けたキーファクター

第4クォーターのディフェンスが生んだ流れ

この試合、キングスの最大の勝因は、第4クォーターに見せたディフェンス強度だった。特に象徴的だったのが、#18 脇 真大のプレーだ。ファウルにはなったものの、ボールマンに激しくプレッシャーをかける姿は、桶谷大ヘッドコーチが「周りに電波していった」と語った通り、チーム全体に闘争心とエネルギーを注入した。このディフェンスこそが、広島のオフェンスリズムを完全に崩し、直後の決定的な10-0のランへと繋がった。

Points From Turnover ターンオーバーからの得点

脇のプレーが象徴するディフェンスの激しさは、試合全体のスタッツに明確に表れている。

広島:19ターンオーバー → キングスが27得点

キングス:11ターンオーバー → 広島が11得点

キングスのディフェンスは、1クォーターから積極的にスティールを狙い、奪ったボールを確実に得点へと繋げるトランジションオフェンス、その効率の高さが際立った。この「ターンオーバーからの得点」における16点もの差が、最終的なスコアに大きく影響。第4クォーターの気迫あふれるディフェンスからの速い攻撃は、今季キングスが目指す理想型を表現していた。

チームの総合力とベンチメンバーの貢献

スターターだけでなく、チーム全体で戦うキングスの「総合力」が光った試合でもあった。この日、#8 佐土原 遼が15得点、#15 松脇 圭志が12得点、#21 デイミアン・ドットソンが10得点を記録。彼ら3選手だけで37得点を叩き出し、チーム総得点(81点)の約46%を占めた。この試合、チームのエースである岸本が2得点とシュートタッチに苦しむ中、佐土原が試合序盤のファーストパンチを牽引して、松脇とドットソンが第4クォーターの勝負どころで得点を重ねたことは、特定の選手に依存しないキングスの層の厚さとチームバスケットボールを象徴している。

ヘッドコーチ・選手会見の要約

桶谷 大 ヘッドコーチ (キングス)

バイウィーク明けの初戦での勝利に安堵感を示しつつ、ディフェンスが機能し広島に19回のターンオーバーを強いた点を高く評価。「すごく価値のあるステップアップになった」と述べた。

第4クォーターのターニングポイントとして#18 脇 真大のディフェンスを挙げ、「彼が見せたところが周りにも電波していった」「ああいう風に見せてくれる選手がいると、周りも強度を上げやすくなる」とそのプレーがチームに与えたエネルギーを称賛した。

オフェンス面ではまだ改善の余地があるとしつつも、「ベースとしてできたディフェンス」を基盤に勝利できたことの価値を強調した。

ヴィック・ロー (キングス)

「チームとして良いプレーができた。バイウィーク明けに力強い試合ができて満足している」と試合内容に手応えを感じている様子を見せた。

新加入の#21 デイミアン・ドットソンについて、「彼が来てくれて、チームをとても助けてくれたのは良かった」とチームリーダーとして、新しい仲間の活躍を称賛した。

佐土原 遼 (キングス)

勝利を喜びながらも、「ドウェイン(#13 エバンス)に対してのディフェンスなど、もっと成長できるところはあった」と個人の課題を冷静に分析。

自身の得点については「クリアできた」としながらも、満足することなくチームとしての更なる成長への意欲を示し、謙虚な姿勢を貫いた。

次戦への展望

琉球ゴールデンキングス

勝利の最大の要因となった高いディフェンス強度を40分間継続できるかが連勝への鍵となる。桶谷HCが「明日、広島さんも次のアジャストがあると思うんで、僕たちはまだその次のアジャストをしないといけない」と語ったように、相手の修正を上回る準備が求められる。特に、ターンオーバーを誘発した激しいボールプレッシャーとペイント内での組織的なヘルプディフェンスを、広島がどう攻略してくるか、それに対するキングスの再アジャストに注目したい。

広島ドラゴンフライズ

ホームで連敗は絶対に避けたい広島にとって、ターンオーバーの数を減らすことが次戦の絶対条件となる。GAME1では19回のターンオーバーが致命傷となっただけに、キングスのプレッシャーディフェンスに対するボール運びやエントリーパスの精度向上が急務だ。オフェンス面では、キングスの激しいヘルプディフェンスを逆手に取り、アウトサイドのシューターをいかにフリーな状況で打たせるか、戦術的な修正が勝敗を左右するだろう。

(写真提供:琉球ゴールデンキングス、構成・文:湧川太陽)

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