キングス、激闘の末に三遠に81-83で惜敗 [2025.11.09]

11月9日(日)、琉球ゴールデンキングスはアウェーで三遠ネオフェニックスとのGAME2を戦い、81-83で敗れた。

目次

試合総括

試合は、序盤からホームの三遠が#2 デイビッド・ヌワバを起点に猛攻を仕掛け、キングスが出鼻を挫かれる展開となった。ヌワバの驚異的なパフォーマンスに終始苦しめられ、主力のファウルトラブルも重なり、最大14点差のビハインドを背負う。しかし、キングスは諦めずにディフェンスの強度を高め、連続得点で猛追し最終盤には2点差まで詰め寄ったものの、あと一歩及ばず、最終スコア81-83で惜敗。三遠の徹底したインサイド戦略とヌワバという”個”の力に屈した形となったが、同時にキングスの粘り強さと、乗り越えるべき課題の両面が浮き彫りとなった。

第1クォーター: 出鼻を挫かれたキングス、三遠の猛攻に苦しむ (29-23)

桶谷大HCが試合後に最大の敗因として挙げた「出だし」で、キングスは完全に後手に回った。三遠が29点を挙げたのに対し、キングスは23点。この6点差が最後まで重くのしかかることになる。脅威となったのが三遠#2 デイビッド・ヌワバで、このクォーターだけで12得点を記録。その得点源は、まさに桶谷HCが指摘した「ターンオーバーからの速攻」と「セカンドチャンスポイント」であり、キングスは序盤から三遠にリズムを与えてしまった。また、三遠はGAME1とは異なり、序盤から#00 スティーブ・ザックのポストアップを多用するなど、意図的にインサイドを攻める戦術的変更を見せ、キングスの守備を混乱させた。キングスも#14 岸本隆一や#15 松脇圭志のスリーポイントシュートで応戦するも、試合の主導権を握られたまま最初の10分間を終えた。

第2クォーター: ファウルトラブルの波紋と粘り強い攻防 (18-19)

一進一退の攻防が繰り広げられた第2クォーターは、三遠18点、琉球19点とほぼ互角の展開。しかし、キングスにとっては攻守の要である#15 松脇圭志が前半で早々に3つのファウルを喫するという苦しい状況に陥った。彼のプレータイムが制限されたことで、キャプテン#14 岸本隆一が自ら得点モードに入りチームを牽引せざるを得ない状況となり、必死に点差を詰めようと奮闘。しかし、三遠も#20 根本大や、前半だけで16得点を挙げた#2 ヌワバの活躍でリードを堅持。さらに、#14 岸本が試合後に反省点として挙げた三遠のゾーンディフェンスが機能し始め、キングスのオフェンスのテンポを乱した。ハーフタイムのスコアは47-42となり、キングスは5点のビハインドを背負って後半へ向かうこととなった。

第3クォーター: 激化するインサイドの攻防と三遠の粘り (22-23)

後半に入ると、両チームの意地がぶつかり合うさらに激しい展開となった。スコアは三遠22点、琉球23点とキングスがわずかに上回ったものの、点差を決定的に縮めるには至らない。三遠は#28 津屋一球のスリーポイントシュートなどでリードを広げる場面もあったが、キングスも#4 ヴィック・ローの個人技や#45 ジャック・クーリーのポストプレーで粘り強く食い下がった。このクォーターでは両チームの主力にファウルが嵩み、三遠#2 ヌワバと琉球#4 ローが共に3つ目のファウルを記録。特に#15 松脇がファウルを警戒せざるを得ない状況が、三遠の#28 津屋といったシューターにより快適なシュートチャンスを与えた可能性も否定できない。

第4クォーター: 執念の猛追、しかし最後の壁は破れず (14-16)

最終クォーター、三遠が#2 ヌワバのスリーポイントシュートなどで最大14点差までリードを広げ、勝負あったかに見えた。しかし、ここからキングスがディフェンスの強度を高め、猛追を見せる。#4 ヴィック・ローの連続得点や、#53 アレックス・カークがインサイドで奮闘し、着実に点差を縮めていく。そして迎えた残り3秒、3点差の場面。#14 岸本隆一がファウルを得てフリースローのチャンスを掴む。1本目を冷静に成功させ2点差(83-81)。逆転への望みを繋ぐため2本目を意図的に外し、オフェンスリバウンドを狙うという戦術を選択。しかし、その後のリバウンド争いを三遠に制され、ボールを確保されたところで試合終了のブザー。キングスの追い上げも、最後の壁を破ることはできなかった。

試合スタッツ:りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦 2025/11/09 三遠 VS 琉球 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト

主要選手のパフォーマンス

琉球ゴールデンキングス

#4 ヴィック・ロー:20得点  | 7リバウンド | 2アシスト

チームトップの20得点、7リバウンドを記録。最大14点差をつけられた苦しい時間帯でも、内外から得点を重ねる大黒柱としてチームを支え続けた。彼の献身的なプレーが、終盤の猛追の原動力となったことは間違いない。

#14 岸本隆一:18得点  | 4リバウンド | 2アシスト

18得点、2アシストを記録。4つのファウルを抱える苦しい状況ながら、#15 松脇のファウルトラブルもあり、第2クォーター以降は自ら得点モードに入りチームを牽引。最後のフリースローという極限のプレッシャーがかかる場面を任されたことからも、彼の責任感と勝負強さがうかがえる。

#7 アンドリュー・ランダル:12得点  | 5リバウンド | 2アシスト

ベンチから出場し、貴重な12得点、5リバウンドを記録。1番から5番までこなす多様性を発揮。ガード陣がプレッシャーに苦しむ場面では自らボールを運び、戦術的な柔軟性をもたらした。

#15 松脇圭志:8得点 (3P 3/9) | 2リバウンド | 2アシスト

前半での3ファウルが大きく響き、8得点に終わった。ディフェンスのキーマンである彼のプレータイムが制限されたことは、チームの守備戦略に大きな影響を与え、結果的に三遠のオフェンスを勢いづかせる一因となった可能性がある。

三遠ネオフェニックス

#2 デイビッド・ヌワバ:30得点  | 10リバウンド | 5アシスト

得点Bリーグキャリアハイタイとなる30得点、10リバウンドのダブルダブルを達成。インサイドへの豪快なアタックからアウトサイドのスリーポイントシュートまで、その圧倒的な得点能力が琉球のディフェンスを終始苦しめた最大の要因であった。

#20 根本大:13得点 (3P 3/3)  | 2リバウンド |2アシスト

13得点(スリーポイントシュート3本成功)を記録。勝負どころでの思い切りの良いシュートが光り、チームに大きな勢いをもたらした。彼の活躍は、キングスのセカンドユニットとの差を生み出した一因であり、三遠の勝利に大きく貢献した。

勝敗を分けたキーファクター

序盤の失速と第1クォーターのビハインド

桶谷HCが会見で第一に挙げた敗因は「出だし」であった。第1クォーターを23-29で終えたこの6点のビハインドが、結果的に最後まで重くのしかかった。特にこのクォーターで許したターンオーバーからの失点やセカンドチャンスポイントが、三遠、特に12得点を挙げた#2 ヌワバにリズムを与えてしまった。追いかける展開を強いられたことで、キングスは常にプレッシャーの中で戦うことになった。

インサイドでの攻防とペイントエリアの支配

この試合の勝敗を最も象徴するデータが「ペイントエリア内での得点(Points in the Paint)」である。三遠の46点に対し、キングスは28点。実に18点もの大差をつけられた。これは、三遠がGAME1から変更して#00 スティーブ・ザックのポストプレーを序盤から意図的に仕掛けるなど、戦術的にインサイドを支配した結果である。キングスが#2 ヌワバらの強力なインサイドアタックを組織的に止めきれなかったことが、失点の増加とファウルを誘発される悪循環を生み出した。

主力のファウルトラブルとその影響

キングスにとって大きな誤算だったのが、主力のファウルトラブルだ。攻守の要である#15 松脇圭志が前半で3つ、司令塔でありスコアラーでもある#14 岸本隆一が最終的に4つのファウルを記録。特に松脇のプレータイムが制限されたことで、相手のスコアラーに対するプレッシャーが弱まり、三遠のオフェンスを勢いづかせてしまった側面は否定できない。

“アンストッパブル” #2 デイビッド・ヌワバ

戦術やスタッツを超えた存在、それがこの試合における三遠#2 デイビッド・ヌワバだった。キャリアハイタイの30得点という数字だけでなく、キングスのビッグマンをスピードで、ガード陣をフィジカルで圧倒し、ミスマッチを徹底的に突いた。キングスが追い上げムードを作った重要な局面で、ことごとく彼の得点によってその流れを断ち切られた。まさに「Xファクター」として試合を支配した彼のパフォーマンスは、賞賛に値する。

ヘッドコーチ・選手会見の要約

桶谷大ヘッドコーチ

敗因は「出だし」: 第1クォーターでのターンオーバーからの速攻とセカンドチャンスポイントで、特に#2 ヌワバを止めきれなかったことが点差が開いた要因だと指摘。試合の入り方の重要性を改めて強調した。

セカンドユニットの課題: 若手選手の成長の必要性に言及しつつも、現状ではスターターの時間帯と得失点差の悪化が課題であると示唆。敗戦の中から選手が責任感を持って成長していくことへの期待を述べた。

#7 ランダル加入の効果: #7 アンドリュー・ランダルの加入により、ラインナップの多様性が増し、戦術的な手応えを感じていることを明かした。一方で、チームとしての連携面では、まだ時間が必要であるという認識も示した。

#14 岸本隆一

ゾーンディフェンスへの苦戦: 三遠が仕掛けてきたゾーンディフェンスに対し、チームとして「テンポよく得点を重ねられなかった」と反省点を挙げた。

「スタンダードは下げない」: チームが万全の状況ではない中でも、ディフェンスやリバウンドといったチームが築き上げてきた基準(スタンダード)を高く保ち続けることの重要性を力強く語った。

ゲームコントロールへの意識: 自身がスコアラーとしてチームを牽引する場面と、周りの選手を活かす場面の見極めを、今後の課題として挙げた。ポイントガードとして、より高いレベルでのゲームコントロールを目指す意識を示した。

次戦への展望

悔しい敗戦から得られる教訓は大きい。重要なのは、この敗戦を糧に、次へどう繋げるかである。キングスの真価が問われるのは、まさにこれからだ。

次節の対戦相手は、アウェーでの大阪エヴェッサ戦。今回の三遠戦で露呈した課題を、短期間でどこまで修正できるかが勝利への鍵となるだろう。具体的には、以下の3点が急務となる。

試合の入り方と序盤のゲームプランの徹底

身体能力の高いスコアラー(#2 ヌワバのような選手)に対するチームディフェンスの再構築

ファウルマネジメントとセカンドユニットの安定感向上

キャプテン#14 岸本隆一は試合後、「スタンダードは下げない」「一つ一つの勝利を噛みしめ、敗戦をしっかり受け止める」と語った。前半戦の山場となるアウェー3連戦最後の大阪戦でどんな戦いを見せてくれるだろうか。

(構成:湧川太陽、写真提供:琉球ゴールデンキングス)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

沖縄バスケットボール情報誌アウトナンバー編集部 │ #琉球ゴールデンキングス 試合レポートなら #OUTNUMBER │ 沖縄県U18、U15、ミニバス情報も発信中です

目次